【鋼の錬金術師】紅き新世界への国 (ページ5)

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第三話・ヒルレ帝国ページ5

「駅での強盗事件の解決、感謝するよ」

この国、アメストリスの東に位置する都市イーストシティ。その中。アメストリス軍の東方指令部。
ある部屋。
プレジデントデスクに手を乗せ、立派なアンティークの椅子に座った黒髪に黒い目、アメストリス軍の制服を着用したロイ・マスタング大佐はこう言った。

その言葉に、エドはやれやれという意味のジェスチャーをして、

「アンタに感謝されたかぁね――」

「ありがとうございます！」

悪態をつくところをAに遮られる。
机を挟んで２つ向かい合って並べてあるソファの右側に座るエド、アル。左側に座るA。
エドとAで睨み合いが始まるが、次の言葉で終わった。

「ところで大佐。話ってなんですか？」

アルの声。続けて、大佐が、

「ああ、ええと確か……」

と言い、椅子から立ち上がると隣に置いてある本棚から何かの資料を取り出し、また椅子に座った。
そして資料の方に目を向けながら、話を始める。

「君達はヒルレ帝国を知っているかね？」

「ヒルレ？」

３人はきょとんとしていたので、大佐は構わず話を続けた。

「この国から西に位置するクレタ国があるな？それの更に西の方に行くと海がある。その海に浮かぶ島こそがヒルレ帝国だ」

「で、それがどうしたのさ？」

エドの呆れ返ったような口振りに、大差は少々怒りを感じたようで数秒間黙り込んだ。
Aがフォローの言葉をかけようとした時、ようやく何かを口にした。

「…………賢者の石」

「おおーー！で、それでそれで？」

「――全く、君は分かりやすいな」

ため息交じりの大佐の声。それもその筈。
エドはさっきの態度から急変、いきなり姿勢を正して「話を聞く姿勢」になった。
アルとAもエド程ではないが前のめりになって話に興味を持つ。

「そのヒルレ帝国は、昔から『戦争の国』だとか、『天国の国』など呼ばれる程内戦が激しかった。
その分、科学力も発達した。しかしその国には錬金術と呼ばれるようなものは無い」

「ハァ？だったら……」

「まだ話は終わっていない、鋼の。本題に入る。最近その国では『殺人事件』が起こっている。殺人現場にたまたま立ち会ってしまった住人はこう言ったそうだ『赤い石が光って、その後人間が無残にも溶けて殺された』とね」

「面白そうじゃねーか」
とエドが言い。

「つまりその賢者の石――赤い石を使う人は『黒』ってわけね！」
Aが言う。