【ヒプマイ長編】Yokohama Walker【愛され全ディビ】 (ページ33)

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３２話ページ33

「その子、男！！！俺っちが前会ったって話した子だよ！！」

「は？…え？何言ってんだ？」

『お、男！？？私、女です！……これ見てください！！！』

Aが一二三に保険証を見せた。

「………ほ、本当に女の子だ…。」

「一二三君！何言ってるんだ。Aさんは間違いなく女性だ。」

『え？寂雷先生！なんでここに？』

「え？！Aちゃん、先生と知り合いなの？！」

只事ではない雰囲気を感じたのか、周りの客達がこちらを見ている。

「…一旦、みんな落ち着いて話を整理しようか。」

寂雷先生の提案により4人でテーブルを囲む。

「Aさんは私の病院に通っているから私と面識があるんだ。」

「俺っちはー、落とした鍵を拾ってもらったんだ。その時スーツを着てなかったのに、女性恐怖症が出なかったから、てっきり男だったのかと…。マジメンゴ！！！」

『あ、あのー…女性恐怖症とスーツにどんな関係が…？』

「一二三は過去のトラウマのせいで女性恐怖症なんだけど、スーツを着ると女好きになるんだ。」

『へぇ…そうなんですね…。』

一二三はAをじーっと見ている。

『あ、あの…私の顔になにかついてますか？』

「あ…ガン見しちゃってゴメン！なんで君だけは大丈夫なんだろうって考えてたんだ。」

「確かにこの光景は信じられないですね…。極度の女性恐怖症の一二三君が素の姿で女性と話しているなんて…。」

「うーん、俺っちにもよくわからないや！……これ以上ここに居ると2人の邪魔になるから帰るわ！じゃーな、独歩！」

「うん、そうだね。私達はここで失礼するよ。2人とも邪魔して申し訳なかったね。では。」

そう言って2人はお店を出て行った。

「なんか……すみません…。俺の友人が色々と失礼な事を…。」

『いえ、私が男性だっていう誤解が解けて良かったです！』

それから一二三さんとの同居話や兄弟の事など、様々な話をしながらランチを楽しんだ。
独歩さんの知らなかった一面を知る事が出来て嬉しかった。

先生と別れて1人、シンジュクの街を歩く一二三。

(女性恐怖症の俺が唯一平気な女の子。奇跡的な出会いだったし正直、運命だと思ってしまった。しかもあんなに可愛くて良い子そうで…。でも、独歩が気になってる子だから忘れるしかない、か……。)

「あーーー。こんな気持ちになるなら、出会わなければよかった！神様のバカ！」

シンジュクの街に一二三の声が響いた。