21話 ページ22
それから銃兎さんと海辺のカフェでランチをすることになった。
今日はいい天気なのでテラス席に座った。海風が心地良い。
「そういえば、Aさんは山田一郎とはなぜ知り合いなんですか?」
『一郎さんは私の働いているカフェの常連さんなんです。』
「へぇ、カフェで働いているんですか。ぜひ私も行ってみたいですね。場所はどこに?」
『イケブクロです。あ、でも普通のカフェじゃなくてメイド喫茶なのでちょっと…。』
「え、もしかして萌え萌えきゅんとかいうやつですか?!」
『い、いえ!私のところはクラシカルなカフェなのでそういうことはしてません!ケーキは自家製で、紅茶もおいしいので、もしよかったらぜひ来てください。』
「そうですね。理鶯でも誘ってお邪魔させてもらいます。」
それから1時間くらい話をしてお店を出た。
会計を支払おうとしたら、すでに銃兎さんが先に済ませていた。いつのまに…。
『誘って頂いたうえに、ご馳走にまでなってしまって…。ありがとうございました。』
Aはお辞儀をする。
「いいんですよ。Aさんを独り占めできましたから。では私は仕事に戻りますね。」
『…あのー…。冗談でもあまりそういう事言わないでください。』
Aは思わず恥ずかしくなり俯く。
すると急に後ろから抱きしめられた。
『え、じゅ、銃兎さん…!?』
「あなたは隙が多過ぎるんですよ。それになんだか放っておけない。」
そう耳元で囁かれ、ぎゅっと抱きしめられる。
((香水の匂いかなぁ、すごくいい匂いがする…いや、そうじゃなくて…!!!))
『銃兎さん、は、離してください。恥ずかしいです!!』
そう言うと私を抱きしめていた腕をはなし、解放された。
「…そうですね。昼休憩中とはいえ職務中ですし、誰かに…。いや、左馬刻に見られたら殺されてしまいますね。…続きは今度、人の目がないところでしましょうか。」
『な、なに言ってるんですか!』
銃兎さんは飄々としていて掴み所がない。そして丁寧だけど強引だ。その雰囲気にどこまでも流されてしまいそうで危険だと思った。
銃兎はAと別れ、1人パトカーに乗りヨコハマの街をパトロールする。
(…今まで左馬刻がAさんに対して抱いている感情は憐れみと同情心かと思っていたが、それだけではない特別な感情を抱いている事が今回わかった。そう思うと余計手に入れたくなる…。)
そんな事を思いながら、笑みを浮かべた。
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作者名:( ・ω・) | 作成日時:2018年11月14日 17時