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12話 ページ13

左馬刻さんのマンションは繁華街の一等地にある綺麗なマンションだった。


エレベーターで最上階まで登ると、ヨコハマの街が見下ろせた。


一番端の角部屋。ガチャリと鍵を開ける。


中は白と黒のモノトーンで統一されていて生活感がない。


『お、おじゃまします…。』


中まで入ると、左馬刻さんの普段使っている香水の匂いなのか、ほのかにいい香りがする。


「まあ、好きにしろ。俺はリビングの隣の部屋のベッドで寝る。お前はリビングに布団敷いて寝ろ。」


そう言って左馬刻さんは冷蔵庫からビールを取り出して、ソファにどかっと座った。


『あの、シャワー借りていいですか?』


「あぁ、好きにしろ。」


昨日はサバイバル生活でお風呂に入れなかったから嬉しいなぁ。


温かいシャワーを浴びると、幸せな気持ちになった。当たり前のことがこんなに幸せな事だったなんて。


お風呂から上がり、髪を乾かす。
はー、サッパリした!


リビングに戻ると左馬刻さんがソファで寝ていた。


いつのまにかビールは2缶空いていた。男の人の一人暮らしってこんな雑な感じなのかな…。


『左馬刻さん、風邪引いちゃいますよ。ベッドで寝てください。』


肩をポンポンとたたきながら言う。


「ん…?」


左馬刻さんが薄目を開けてこちらを見る。
その瞬間グッと力強く腕を引かれ、バランスを崩し、左馬刻さんの上に覆い被さってしまった。


『ね、寝ぼけてるんですか…?離してください。』


「なんか、お前いい匂いすんな…。」


そう言って首筋に顔を埋めてきた。


『やっ!くすぐったいで…』








言葉を言い終わる前に唇が塞がれた。




『…………!!!!!』




軽く合わさった唇はすぐに離された。


『な…、な、な、なんで…?え、え…?』


唇を触りながらあたふたしていると、左馬刻さんが目をこすりながらダルそうに立ち上がった。


「お前そこで何してんだ?俺寝るわ。じゃーな。」


そう言ってリビングの隣の部屋に入りパタンと戸を閉めた。


((え?え?な、なに?左馬刻さん寝ぼけてたの?え?))


理解が追いつかない。最近こんなことばっかりだ。


私のファーストキスだったのに…。
なんだかもう疲れた…。


その日の夜は不安とさっきの出来事でドキドキしてあまり眠れなかった。

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作者名:( ・ω・) | 作成日時:2018年11月14日 17時

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