46：奇縁-4 ページ5
///
その日からというもの、伏黒甚爾は朝倉A暗殺の為にとにかく朝倉の尾行に徹した。
ここ二日間ほどつけてみて分かったのは彼女は存外普通の女の子ということだ。
平日の日中は中学校に行き、友達と下校。友達と別れた所からは使用人の車で帰宅。
放課後は体術の訓練と術式の使用訓練をして夕食を食べ、その後執務室に数時間籠り自室に入って就寝。
学校ではいかなる時も友達に囲まれ、話を盗み聞きした限り成績も優秀とのこと。
(俺と真逆の存在、ってワケか)
片や相伝持ち、名家の当主と片や呪力0、「禪院家の落ちこぼれ」と呼ばれてきた男。自らと正反対の星の元に生まれた彼女を知っていくにつれ、甚爾は自らに対する劣等感が更に降り積もっていった。
この劣等感を一刻も早く振り払う為にこいつは明日にでも殺そう。そう固く決心するも甚爾は朝倉に対するとある�牋穗卒境瓩�あったのだ。
「じゃあね！！Aバイバーイ！！」
『うん。また明日ね』
違和感、違和感。
おかしい。こいつは何かがおかしい。
『はい、お迎えお願いします。あ、ありったけのお塩買ってくれましたか？ああなら良かったです。何に使うかは…黙秘で』
そう使用人に電話をする朝倉を見て、甚爾は頭を掻いてため息をついた。
(別に違和感なんざ関係ねぇよ。ただこいつを殺す。それだけだ)
自分の中での意思がより明確となり、少しだけ緊張の糸が緩む。缶コーヒーでも買うか、と近くの自販機に向かいポケットから小銭を出そうとしたが
チャリーン
盛大に小銭をぶちまけてしまった。
(ついてねー、)
ゆっくりと地面にしゃがみ込み小銭を拾おうとしたその刹那、甚爾の頭上に影ができた。
『これ…』
影の主は…朝倉A。彼女を見上げた甚爾は、思わず目を見開いた。甚爾が驚嘆した所以は暗殺対象に気づかれたからとか、そんな話ではない。
『落としましたよ』
己を見下すその瞳が、眼差しが、冷気を感じる程に凍てついていて。明らかに憐憫の情が籠ったその目に甚爾は面食らったのだ。
そうだ、違和感の正体はこれだ。こいつは友人といる時も、他人と相対するときも、いつでもこの眼をしている。まるで「可哀想な野良犬」を見るような、そんな見下した視線を無作為に投げかけている。
(マジ、か…)
きっとこのガキは自分の事を「神に愛されている」なんて思っていない。こいつの中では、こいつが神なんだ。
問答無用でその視線を投げかけてくる朝倉に甚爾は唯々動揺する。
(やめろ、俺をその目で見るな)
そんなことを彼が願った瞬間＿＿＿＿
「2000万、頂きぃ！！！！」
下劣な声が響いた。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 228人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
rona(プロフ) - ramiさん» とんでもないイケメンにモテる朝倉ですね最高すぎる笑 (2月24日 22時) (
レス) id: 37a0da4135 (このIDを非表示/違反報告)
rami(プロフ) - ronaさん» このコメント手叩いて笑っちゃいました笑朝倉は元カレ5人くらいいるハズなのできっと菊池松島もわらいると思います笑 (2月24日 19時) (レス) id: d081508064 (このIDを非表示/違反報告)
rona(プロフ) - しょうもないですけど私は歴代彼氏中島健人佐藤勝利説を推したいです (2月23日 23時) (レス) @page3 id: 37a0da4135 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：rami | 作成日時：2024年2月23日 21時
