【em】約束 ページ14
最上階、執務室前。
私は、立ち尽くすしかできなかった。
開け放たれた扉の奥には、敵兵の死体に無表情で銃弾を撃ち込むグルッペンさんの姿があった。その傍らには、粛清剣を下げたままのトントンさんもいる。
「トン氏、お前は神の存在を信じるか?」
「…まあ、"あいつ"が神って言うんなら、信じてることになるんちゃうか」
「その神ごときに、俺らの運命を変えられることに納得できるか?」
「できへんな」
神?何の話だ。
わからないことばかりであるが、二人の会話に入ることはなぜかできなかった。
「エミさん、入らへんの?」
急にトントンさんに呼ばれ、入らざるをえなくなった。大人しく従うと、二人とも穏やかな笑みを浮かべていた。しかしその表情からは、諦めは感じられない。決意のような、強い思いが目に宿っているようだった。
「負け、ですか……?」
私が恐る恐る聞くと、グルッペンさんは表情を崩さず言う。
「ああ、負けたな。弄ばれた」
総統が言うと、やはり重くのしかかる"負け"。
私は一国民として、祖国の敗戦を認めるしかなかった。
「ただな、エミさん」
「絶対に"あいつ"は、もう一度繰り返す。
俺らが絶望しない限りな」
グルッペンさんの言葉の意味はわからない。それでも、彼の声音と表情には説得力があった。
「来世で、リベンジ……ですか」
話を合わせるように、疑問形だが応える。
グルッペンさんは顎に指を沿え、少し考えるような素振りをしたあと、ゆっくりと口を開いた。
「"再会"、やな」
つまり、彼らの物語はリセットされない、来世は続編にすぎない、と。
私は、この物語を最後まで見てみたい。
「…ご一緒させていただきます、最後まで」
「今回も、お前の口からその言葉が聞けて嬉しいゾ」
「今回"も"?」
「ああ、何度繰り返そうが、お前は再会を約束し、そう言うんだ」
では、今度も。
彼らに来世での"再会"を誓う。
また会いましょう。
ラッキーカラー
あずきいろ
ラッキーナンバー
8
おみくじ
おみくじ結果は「末凶」でした！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 113人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
麻季(プロフ) - 黒猫さん» レスのミスでさらに遅くなり大変申し訳ありません。ありがとうございます!そこまで言ってくださるとは感激ですｗ (2019年4月5日 16時) (
レス) id: b5918b08c5 (このIDを非表示/違反報告)
麻季(プロフ) - 支配人Bさん» レスが遅くなり大変申し訳ありません。ありがとうございます!構成は割とこだわったので、めっちゃ嬉しいですｗ (2019年4月1日 3時) (レス) id: b5918b08c5 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫 - むっちゃ面白かったです!今まで見てきた中でも特に面白かったです! (2019年2月2日 15時) (レス) id: 1a0123f488 (このIDを非表示/違反報告)
支配人B(プロフ) - 話の構成めちゃくちゃ好きです (2019年2月2日 11時) (レス) id: a003c0392f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：麻季 | 作成日時：2018年9月29日 2時
