【em】捜索 ページ13
基地内は、地獄絵図だった。
敵味方関係なく死体が折り重なっている。
まだ基地に敵が残っているかもしれない。そんなことも考えず、一心不乱に幹部達がいつもいる場所をしらみ潰しに巡った。
基地の裏にある畑。
共用の演習場。
お茶会ができるテラス。
外から回り、意を決して建物の中に入る。
1階の医務室に近づいた時だった。
「マンちゃん…っ!」
それは確かに、大先生の声だった。涙を堪えたような、上ずった声。
「大先生、何があったんや!」
医務室に駆け込むと、二人がこちらを見る。中にいるのは、しんぺい神さんと大先生。
そして、ベッドに眠るオスマンさんの姿があった。
「エミさん!なんでここに!」
「来ぉへんわけにはいかんやろ!」
もちろん、本心だ。この国を担う幹部、もとい仲間である彼らの窮地だ。
自分の実力などわかりきっているが、行くなというのが無理な話だった。
「それで、オスマンさんは!」
ゆっくりと首を横に振るしんぺい神さん。察するには十分だ。大先生も、俯いたままだった。
何も言わずに、ただ手を合わせる。
「……」
「私、行きますね」
踵を返す私を、お二人は止めようとしなかった。
目指すは最上階。書記長室と総統室。
自ら改良した手榴弾を持ちながら、足音を立てないように階段を登る。
ああ、これならゾムさんの秘密通路でも聞いとけば良かった。
2階。
敵はいないが血の海である。
司令室からはザー、ザーと機械音が漏れていた。
3階。
廊下の壁にもたれかかるひとらんさん。浅い呼吸を繰り返しつつも、穏やかな表情だった。
廊下の奥には敵兵の死体で山ができている。
「ひとらんさん!」
こちらに気づいたひとらんさんは、普段の彼からすると珍しく険しい表情で、声を荒げた。
「…俺のことは、いいから……っ。早く、上に…!」
「でもあなたが!」
「エミさん!」
少し食い気味にひとらんさんが声を張る。キッとこちらを睨む彼の顔は、無数の傷と返り血にまみれていた。
死ぬ覚悟はできてる、とも、俺は死なない、とも取れるその頼もしい表情に、私は反論することを諦めるしかなかった。
「生きて、会いましょう」
「ふふ、もちろん」
軍帽のつばを軽く下げて、彼は笑った。
走る視界の端で、その右手が力なく垂れた。
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麻季(プロフ) - 黒猫さん» レスのミスでさらに遅くなり大変申し訳ありません。ありがとうございます!そこまで言ってくださるとは感激ですｗ (2019年4月5日 16時) (
レス) id: b5918b08c5 (このIDを非表示/違反報告)
麻季(プロフ) - 支配人Bさん» レスが遅くなり大変申し訳ありません。ありがとうございます!構成は割とこだわったので、めっちゃ嬉しいですｗ (2019年4月1日 3時) (レス) id: b5918b08c5 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫 - むっちゃ面白かったです!今まで見てきた中でも特に面白かったです! (2019年2月2日 15時) (レス) id: 1a0123f488 (このIDを非表示/違反報告)
支配人B(プロフ) - 話の構成めちゃくちゃ好きです (2019年2月2日 11時) (レス) id: a003c0392f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：麻季 | 作成日時：2018年9月29日 2時
