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「お借りしましたー」
「はーい、…ズボンは?」
「…長いし暑い」
マサイのシャツは割と大きくて、それに比例してズボンも長くてお風呂上がりの私には暑くて着れる代物ではなかった。
幸い大きなシャツが膝を隠している。ズボンを手に持ってリビングに戻ったら二人が眉間に皺を寄せて私を見た。
「半ズボン貸してあげる」
「あつい」
「だめ」
「あー、もう終わったから帰んぞ」
シルクがパソコンを閉じて私の荷物も持って立ち上がる。
ほら、と背中を押されるから慌ててマサイに「着替え返しに来るね」と手を振るとリビングのドアが少し閉められてなぜか廊下にひとりにされる。
「シルクー帰るよー?」
そう声を掛けるとドアが開いて「おー」と言うシルクの後ろでマサイが呆れたように笑っていた。
「ぽん、髪乾かして寝るんだよ」
「はーい、おやすみ マサイ」
「ん、おやすみ」
「マサイまた明日連絡するわ」
「よろしく」
鍵を閉めるついでとお見送りしてくれたマサイにもう一度手を振ってシルクと一緒に部屋へと帰る。
「荷物リビング置いとくぞ」
「んー」
ドライヤーをするためにそのまま洗面所に向かった私にシルクがそう言って先にリビングへ。
わしゃわしゃと適当に乾かして寝室に直行し布団の上に横になると「見えるぞ」とシルクが言い放つ。
「見えない おっきいから」
「チビで悪かったな」
「そこまで言ってないよ」
「お前寝巻きは?」
「あ、洗濯してそのまんまだ」
「俺の履いとけ」
乱暴に投げつけられた寝巻き。シルクが部屋から出ていくのを見てそれを履いて、一度寝室を出ていく。
寝る前に水が飲みたい、そう思って行くと電気の付いてないキッチンにペットボトルに入った水を飲んでるシルクが居た。
「ちょーだい」
「ん」
短く返事をしてペットボトルを差し出されるからそれを掴もうと手を伸ばしたらペットボトルが引っ込む。
「え、なに」
「水飲むの?」
「うん 喉乾いた」
ふーん、とまた水を口に含むシルクを見て首を傾げるとシルクの空いた手が私の肩を押して背中が壁に触れる。
あ、と思った時には唇が重なって、口内に水が流れ込んできた。少しだけ溢れた水が口の端からツー、と伝う感覚。そのままそれを舌で掬うからびくりと身体が揺れた。
「…もっかいする?」
「自分で飲める…」
「残念」
シルクはへらっと笑ってペットボトルを渡しながら「俺も風呂」とリビングを出ていく。
あぁ、そう言うの狡いよ。
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作者名:yuyu | 作成日時:2018年5月20日 3時