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45 (11) Silkside ページ21

─Silk side



好きだと気づいた時には遅くて、Aには背が高くて顔も言うことなしの彼氏がいた。


学生の時、他の女子より落ち着いていた彼女。
我関せず、そんな感じがあった。
女友達はいるけど、自分から話をする訳でもなく聞く方が多い。


俺達といる時の顔と、他の奴らといる時の顔は全然違った。
だからこそ俺も他のメンバーもAのことを“特別”だと感じて“仲間”だと思っていた。


小さい頃から一緒に居て、親同士も仲が良くて、兄貴のことも「お兄ちゃん」と呼ぶAは俺にとっても当たり前の存在だった。


何度も言おうと思っていた気持ち。でも、もし…と考えると怖くてなかなか言えなかった。


そんな時集まるたびにいつからか、マサイとの距離が近くなっているのに気づいてAに「付き合ってんなら言えよ」とぶっきらぼうに言ったこともあった。


マサイがAを見る目も変わった。愛しそうに見る目に胸が痛くて腹が立って、二人きりにさせたくなくて邪魔したこともある。



高校を卒業して大学に行った俺とは別の道を歩んだA。動画を撮ろう、と口実を作って会う時間を必死に作った。


「今日帰り送ってく」
「…あー、大丈夫。彼氏、来るし」
「お前彼氏できたの」
「ん、マサイには話してたんだけどシルクにはまだだったね」


彼氏ができたこともそうだったけれど、マサイには話して俺には言わねーのかよ なんて思って「あっそ」とつまんなそうな返事をするとAは困ったように笑って「またみんなで集まろ」と言っていた。



Aに会えない日が続くのがつまらなくて彼女を作って、Aに報告をしたりした。

アイツは電話の向こうで「おめでとう〜大事にしてあげてね」と言うだけだった。

虚しくて、つまらなくて、悲しくて、寂しかった。



だから、もう誰にも取られたくなかった。



あの日「マサイと一緒に住む」なんて言われてたら俺はこの気持ちを諦めてただろうか。


でも、Aは今俺の隣に居て。
俺の名前を呼んで、たすけて と縋り付く。


Aのことが本当に大切で、二度と傷つけたくなくて、諦めたくなくて、守りたくて、そばにいて欲しくて。
止められなくなった気持ちをAは微笑んで受け入れてくれた。



腕の中で気持ち良さそうに寝息をたてるAの額に口付けて抱きしめる。



「好きだ…」



縋り付いているのは、俺も同じだ。

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作者名:yuyu | 作成日時:2018年5月20日 3時

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