さくらのうた (ページ10)

今日:8 hit、昨日:2 hit、合計:25,354 hit

十話ページ10

そこにはさっきの男の人とAが向かい合って立っている。

Aの頬は真っ赤に染まっていた

するとAの口から出た言葉を聞いて頬を一つの雫が零れ落ちた…

「先輩！！・・・私…先輩の事が好きです！！！」

俺は思わずその場を立ち去った。

走って、走って、走り続けた国道沿いを走っているときAと一緒に歌った歌を思い出した。

「忘れたら、君を忘れたら、もう涙ながす事もないかな？」

国道沿いを走って一人歌った忘れられない歌。

俺とAとの思い出を詰め込んだ歌…もう、聞かせたって…。

ＬＩ○Ｅ

『もう、やめた。』
飯『なんで？！』
こ『いきなりどうしたん！？』
古『なんかあったんか？』
『A、告白してもうた…』
飯『え？！』
古『嘘？！』
こ『なんでこんなタイミングよく…』

家に帰ってAとやった交換ノートを眺める。

「なんで？…どうして…答えて、教えて…なんでこうなるん・・・」

ノートに雫がぼたぼたと落ちてゆく。

「ずっと好きやったやん…ずっと。Aの事が大好きやったやん…」

それから一晩中涙が止まらんかった。

そして、一年が経ち地元でのライブ。

飯「鮪…いつまでひきずってるん。元気出さな、ライブ盛り上げんねんやろ？」

鮪「うん…分かってる。」

こ「今まで一杯練習してきたんやし、その成果をファンの人たちに見せよ？！」

古「そうや、鮪が元気じゃないと歌も元気じゃなくなるで！！」

鮪「…せやな(笑)」

「ＫＡＮＡ－ＢＯＯＮさん出番です！！」

鮪「よーし！いくぞ！！」

Aがライブにくるって聞いてからめっちゃ練習してきた。あの日を思い出す。

あの時の先輩とは付き合ってるんやろうか。

鮪「どーもぉーＫＡＮＡ－ＢＯＯＮでーす！よろしくどーぞー！！」

ライブが始まった、なんでやろう、Aを探してしまう。いるはずがないのに…。

あの時目を輝かせながら俺たちのライブを聞いていてくれたAはもうどこにも・・・

そして、最後の曲になった

鮪「それではＫＡＮＡ－ＢＯＯＮ最後の曲です…」

丁度観客席の縦列と横列の真ん中あたりに涙を流しながら立っているAを見つけた。

飯「・・・鮪？どうしたん？曲名いわな。」

鮪「曲変えよう・・・。」

古、飯、こ「！？！？」

鮪「羽虫と自販機。」

「忘れたら、君を忘れたら後悔するよな、分かってるよな、忘れても、もしも忘れてもどうせ夢の中でばったり会うのでしょう。」