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涙でぼやけた視界の向こうで、彼は首を傾げた。
その声にハッとして、今が下校中だったということを思い出す。
日直で、帰りが遅くなり。
昇降口を出て、校門に向かう途中で連絡がきたから、思わず立ち止まってLIMEを直ぐに開いてしまったのだ。
そして、失恋を実感して、今に至る。
『……あ、いえ、』
どこか痛いのか、と聞かれたため、指先で涙を拭って慌てて首を振った。
こんなところで立ち尽くして人に心配かけて、何してんだろ、私。
そんな、悲しみと羞恥心が混ざったぐちゃぐちゃの感情で、俯く。
『心配、ありがとうございます。…もう大丈夫です、それでは』
泣き顔を見られた、とか。
そんなことはひとまず、どうでもよくて、ただ一人になりたかった。
だから、そのまま少しだけ頭を下げて、正面に立つその人の横を通り抜ける──
予定、だったのだが。
『……え、』
「一目惚れ、しました。付き合うてください」
『…………は?』
手首を掴まれて、振り返る。
と、耳に届いた言葉。
あまりに突然で、それに何より、今失恋したばかりなのに。
呆然としてしまって、掠れた声が小さく響いた。
混乱する頭。
数分、そのまま固まって、考える。
一目惚れ?誰に?私?
今、泣いていたから絶対、不細工なのに。
疑問ばかりが頭を埋め尽くし、一向に解決しない。
意味がわからなかった、初対面で、しかも変なところで立ち尽くして泣いていた奴に一目惚れ?
そんなこと、あるのだろうかと。
『……ん??』
「?」
そして私はふと、気付く。
今まで、本当に様々なことでいっぱいいっぱい過ぎて、全く気が付かなかったが。
さらさらと風に揺れる、銀髪。
眠たげな瞳と、整った顔。
目の前にいる、突然告白してきた彼は、
『宮、治……!?』
学校内で最もモテているイケメンが一人、男子バレーボール部の宮ツインズの片割れ、だということに。
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宮兄弟推し - 推し=恋愛対象の人間です。宮兄弟ガチ恋勢(わい)には、たまらん作品です。ありがとうございました! (5月18日 20時) (レス) @page28 id: e2e9177bef (このIDを非表示/違反報告)
風矢@二次元待ち(プロフ) - とても幸せな小説でした。おつかれさまです! (2023年2月21日 15時) (レス) @page28 id: 8fd965734e (このIDを非表示/違反報告)
にゃん吉(プロフ) - 胸がギュンってなりました🤦♀これからも応援してます!更新頑張ってください🙇🏻 (2022年11月23日 3時) (レス) @page21 id: 4862dc7ef3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:音琥 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/jjijwihief/
作成日時:2022年11月19日 18時