検索窓
今日:14 hit、昨日:15 hit、合計:101,173 hit

第十四話 ページ19

え、と声が零れる。




なんで今、抱き締められているのかわからなくて。
てっきり、怒られるとばかり思っていたのに。

ぎゅうぎゅうと強く搔き抱かれて、身動きが取れない。
何事、と驚きながら彼の反応を待っていると、更にそれから数分後、漸く侑が口を開いた。




「…なんやねん…焦った、」



かと思えば、呟かれたのはそんな言葉。
理解が追いつかず、首を傾げるばかりで。

きっと私も、さっきの侑に負けず劣らずのアホ面をしていることだろう。
ぽかん、としたまま固まった私を見て、今度は侑が喋り始める。



「昨日、角名がAに告白してるのを見て、もうあかんのや思た。」



気づいたら名前で呼び合うようになっとるし、体育館の時牽制したのに、次の日には髪型褒めとるし。
お前もお前で満更でもなさそうやったし、


「告白には、ありがとうって言うてたし。」



帰ってサムに相談したら、愛想つかされたんちゃうって言われて、
ほんまに、そうなのかも、思て不安で眠れんで、このザマやねん。

そんでお前は何も言わんと泣きよるし、悪ないって言うても嫉妬しとったっていうし。
もう辛いから別れて欲しい言われる思うやん。



「角名の方が、よっぽど上手に大事にできそうやし」
『…侑………』


「せやから、振られる覚悟して、せめて最後に思て抱き締めとったのに、」



突然ドッキリなんて言い始めるから、初めは何言うとるんかようわかれへんかったわ。




至近距離で聞こえる、侑の声。
その声が、私を抱き締める腕が、全身で安堵を伝えてくるから、また泣きそうになる。

語られた彼の心は、予想の何倍も私のことを好きでいてくれて。
仕返しなんていって、こんなことをしたのが余計に申し訳なくなった。



「A、好き。めっちゃ好きや、なあ、Aは?」
『…私も、侑が好き。』



伝えて、伝えられて、強く抱き締め合う。
そして再び目が合えば、そのまま引き寄せられるように、唇を重ねた。

第十五話→←**



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (240 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
292人がお気に入り
設定タグ:ハイキュー , 稲荷崎 , 宮侑
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

サラミ - 初コメ失礼します。もう設定から面白くて、どんどん読んでしまいました!!更新楽しみにしています。主様のペースで無理しないように頑張ってください!!!上から目線ですみません。 (2022年11月7日 21時) (レス) @page18 id: 82adb6822c (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:音琥 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/jjijwihief/  
作成日時:2022年11月2日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。