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第十三話 ページ17

顔を上げる。




耳朶に触れた、どこか甘い声。
それが紡いだ、私の名前を聞いて。



『侑…』



彼の名前を呼び返すと、優しいブラウンの瞳と目が合った。
それだけで、なんだか泣きそうになってしまって、触れていた手をきゅっと握る。

侑は身体を起こして、それからまた私と目を合わせて。



「A。」



もう一度、切なげな甘い声で、私の名前を呼んだ。
まるで、おいでと言わんばかりに腕を広げながら。

堪らなくなって抱きつくと、背に回される腕。
その温もりに、逞しさに、安堵と悲しみとで涙が溢れた。



「すまん、」



強く、抱きすくめられる。
と同時に、上から声が降ってきて、しゃくり上げながら首を振った。

なんで、侑が謝るの。
悪いのは、私なのに。

そう言いたくて、でも、涙が止まらずに言えなくて。



「泣かしてもうたし、…時間も中々とれへんかったし。」



俺、彼氏失格やな。

なんて、更に続けて言われれば、心臓が嫌な音を立てた。
その先に言われる言葉が、想像できてしまって。



『…違う、侑は、っ、…わるくないの』



焦って言葉を遮ると、体に巻き付いていた腕の力が少し緩む。
言わないと、言わなきゃだめだと思うのに、涙が邪魔で口が上手く動かない。

もどかしくて、言葉に詰まってばかりなのがいやになった時、



「焦らんでええよ、ちゃんと聞くから」



と、頬に大きな手が触れた。
そっとそのまま上を向かされて、細められた瞳に囚われる。

優しい優しい、瞳。
ほんの少しの熱と、切なさを帯びた、瞳。

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サラミ - 初コメ失礼します。もう設定から面白くて、どんどん読んでしまいました!!更新楽しみにしています。主様のペースで無理しないように頑張ってください!!!上から目線ですみません。 (2022年11月7日 21時) (レス) @page18 id: 82adb6822c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:音琥 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/jjijwihief/  
作成日時:2022年11月2日 18時

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