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第十二話 ページ16

着いた先は、保健室だった。





ドアの前で立ち止まって、二人して息を整える。
こんなに走ったのは久し振りだった。

何度か必死に息を吸い込んで、それから気付く。

保健室。
色羽が私を呼んだ理由。

そして、見かけた、体調の悪そうな──



『……侑?』



ひゅん、と心臓が跳ねた。

もしかして。
もしかして。

私の、せい、なの。



「先生には、うちが言うとくから」



どくり、と嫌な音を立てる心臓。
ぎゅ、と胸のあたりの制服を握り締めた私を見て、色羽はそう言った。

そして私の頭をぽんぽんと撫でて、教室へ戻っていく。


怖かった。
どうして、なんで、倒れるほど体調を崩したのか。
震える手でドアを開けて、中に踏み込む。

先生は、居ない。




『あつむ、』



ぽつりと名前を呼んだ。
一番奥のベッドの、閉められたカーテン。

一歩一歩、ゆっくりと歩んで、そっとカーテンの中を覗く、と。



『…!』



そこで寝ていたのは、本当に侑だった。
息を吞んで、それから慌ててカーテンをくぐり、そっとその大きな手に触れる。
起きる気配はない。

その、どこか青ざめている顔と、辛そうな表情。滲んでいる冷や汗に、目元にはっきりとついている隈。
心配で、それから心苦しくて、どうしようもなく悲しくなる。



『(ドッキリなんて、しなければ)』



侑は、倒れなかったのだろうか。

そう思うと、酷く胸が痛んだ。
私が我慢していれば、いや、もっと違う方法で伝えていれば。

思えば、私はずっと、自分の我儘だけで色んな人を振り回してしまっている。
好きな人に、ただ、彼に。

もっと私を見て欲しいなんて、そんな、とんでもないエゴで。



「……A?」




気付いてしまった罪責感で押しつぶされそうになった時、掠れた声が聞こえた。

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サラミ - 初コメ失礼します。もう設定から面白くて、どんどん読んでしまいました!!更新楽しみにしています。主様のペースで無理しないように頑張ってください!!!上から目線ですみません。 (2022年11月7日 21時) (レス) @page18 id: 82adb6822c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:音琥 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/jjijwihief/  
作成日時:2022年11月2日 18時

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