【呪術廻戦】雨を乞う。⑤【男主】 (ページ30)

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自業自得ではあるために苦笑して席に着こうとすれば、次の瞬間再び振動する端末。
悟も傑も硝子も、もはや面白くなったみたいで笑っている。

出ていいということだろう、と応答を押せば、今度は

「Hallo. Ich frage mich, ob ich sicher in Japan angekommen bin. (やあ。無事日本に着いたのかな。)」

当日はバタバタすると思ったから、今日連絡してみたよ、と言うアーベルさん。
事情も聞かずに空港まで送ってくれた彼にまだ感謝も言ってなかったと気づいて、返答する。

『deinetwegen. Es tut mir plötzlich leid. (おかげさまで。突然すみません。)』

苦笑して、ちゃんと日本に着いたことと、急に帰ると言い出したことを謝れば、全然いいよと笑う声。
いい人だな、と頬を緩めつつ、軽く雑談した末に、言われた言葉。

「Hast du deinen Liebhaber wieder getroffen? (恋人とは再会できたの？)」

なんて、突然の変化球に動揺して咳き込む。
ドイツ語だから何を言っているのかはわからなそうだったが、三人はそんな俺の挙動を見て楽しそうにしていた。

『…Nun, ja, vorerst. (まあ、はい、一応。)』

返答を聞いて、からかうような笑みを溢すアーベルさんはいつも通りだ。
世話になってばかりだな、と思いつつ、見守ってくれるその存在にありがたみを感じる。

二、三ヵ月したらそちらに戻ることを伝えて、電話を切った。