41話 ページ42
スリザリン･チームは笑い転げた。フリントなど、新品の箒に縋って腹をよじって笑い、ドラコは四つん這いになり、拳で地面を叩きながら笑っていた。
Aはスリザリン･チームと一緒に笑うことはもちろんだが、ロンに近づくことも出来なかった。強力な接着剤で足を地面にくっつけられたみたいにそこから動けずにいた。
「ハグリッドの所に連れていこう。一番近いし」
ハリーが呼びかけた。ハーマイオニーは勇敢に頷き、ハリーと二人でロンの両側から腕を掴んで助け起こした。
「A？」ハリーは何も出来ずに棒立ちするAを不思議そうに見た。
「おいおい、エイブリー家のご令嬢をナメクジ坊主と一緒に連れてこうなんて失礼がすぎるんじゃないか？」フリントは意地の悪い笑顔を浮かべた。
「Aは私達の練習を見に来たのよね？ねえ、そうでしょう？」
パンジーは全て見透かしているような気がした。縋るような瞳をこちらに向け、Aの手を引っ張った。
『あの、あ、私……』
「分かったよ、行こう、ハーマイオニー」
ハリーはそう言うとAから目を離し、ロンを抱えて歩き出した。
ハーマイオニーが心配そうにAを見た。一瞬目が合ったものの、気まづさに耐えられず、Aは直ぐに目を逸らしてしまった。
「ハリー、どうしたの？ねえ、どうしたの？病気なの？でもあなたなら治せるよね？」
クリービーがスタンドから駆け下りてきて、グラウンドから出て行こうとする三人にまとわりついて周りを飛び跳ねた。ロンがゲボッと吐いて、またナメクジがボタボタと落ちてきた。
「おわぁー。ハリー、動かないように押さえててくれる？」
「コリン、そこをどいて！」
ハリーはコリンを叱り付け、ハーマイオニーと一緒にロンを抱えて競技場を抜けていった。そして、シーカーを失ったグリフィンドール･チームも同様に競技場から出て行った。
「お前も出てけよ、クリービー。ずっとここに居るって言うならそのご自慢のカメラにブラッジャーが当たっても知らないぞ」
ドラコがそう言うとクリービーはスリザリン･チームを強く睨み付けた後、そそくさと競技場を出て行った。
「お間抜けクリービーめ。A、今日は一体いくら払ってポッターの写真を買ったんだい？ガリオン金貨二枚で足りたかい？」
『それ以上言ったら私が貴方に呪いをかけるわよ』
杖を取り出しドラコに向けると彼は「ﾋｯ!!」と言って飛び退いた。
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作者名：パン太郎 | 作成日時：2021年3月15日 7時
