蛇寮の獅子 Part.3 【Harry Potter】 (ページ37)

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36話ページ37

【魔法薬学】の教室は地下にあり、城の中のどの教室よりも寒く、壁にずらりと並ぶアルコール漬けの動物が何とも言えない奇妙さを演出している。

『相変わらず陰気臭い部屋ね……』

「そう？私は嫌いじゃないけどね」

パンジーは昼食を食べている間も食べ終えた今もずっと上機嫌そうだった。クィディッチ･チームに二年生で所属することは確かに名誉な事なのだ。

「A…！彼が来たわよ、お目当ての彼が！」

パンジーが肘でAを小突いた。丁度、地下牢教室の入り口からハリー達三人組が入ってくるところだった。

『そういうのじゃないって何度言ったら分かるの？』

「ごめんってば。あいつらには聞こえてないんだから別にいいじゃない」

パンジーはまるで悪びれる様子も見せずに言った。Aは何か一つ言い返してやろうかとパンジーを睨んだが、丁度教室に黒いマントに身を包んだスネイプがローブを翻しながら入ってきたためそれは叶わなかった。

今日の授業は座学だった。今度調合する【ふくれ薬】についてスネイプが長ったらしく説明している時、隣に座っていたネビルから手紙のような物を渡された。

『これ、なに？』

Aがこっそり聞くとネビルは声を出したら死んでしまうとでも言うように指で右側をさした。

ロンが何か口パクをしている。どうやら「読め」と言っているようだ。ハーマイオニーが隣で呆れながら教科書にかじりつくのが見えた。

スネイプや隣のパンジーにバレないようにこっそり手紙を開くと中にはこう書いてあった。

《今週末、僕ら三人でハグリッドの所に行くんだけど、君も来るよね？ロン
P.S.返事がYesなら羽根ペンを右に傾けて》

ハグリッドの所に何をしに行くのか、詳細は全く書かれていなかったが、Aの答えは決まっている。手に持っていた羽根ペンをできるだけ自然に右に傾けた。

「_______で、あるからして……。おい、ミス･エイブリー……何をしている」

なるべく自然に羽根ペンを傾けたつもりだった。しかし、自然に傾いたのは羽根ペンだけではなかったらしい。Aの視界の左端にスネイプの冷たい瞳が映った。

「我輩の話の途中に珍妙な姿勢をするな。今回だけは見逃すが、次また同じことをすればたとえ我輩の寮であったとしても減点しよう。肝に銘じておけ」

スネイプは冷たい視線をAから手の中の本に移すと、再び長ったらしい説明を始めた。