28話 ページ29
長いこと貼っていた霧が晴れると向こう岸に壮大な城が見えてきた。ホグワーツ魔法魔術学校___Aが通う素晴らしい学校の名前だ。
ホグワーツ特急が停車すると、懐かしい声が聞こえた。
「イッチ年生はこっちだ！」
プラットホームの向こう端でびくびくの新入生の案内役を務めているのはホグワーツの森番ルビウス･ハグリッドだ。
ドラコと二人で人並みに流されホームから出ると凸凹のぬかるんだ馬車道に出た。そこに、ざっと百台の馬車が生徒達を待ち受けていた。
馬車に乗り込むと独りでに馬車が走り出し、ガタゴトと揺れながら隊列を組んで進み始めた。
ホグワーツの城に着くと、生徒たちは列を作って広々とした玄関ホールから大広間に入った。四寮それぞれの席に着くと久方ぶりの友との再会を楽しんだ。
『パンジー、お久しぶりね！ダイアゴン横丁できっと会えると思っていたけど』
「日にちが合わなかったみたいね、でも会えて嬉しいわ！」
広間が少しずつ静かになった。もうすぐ組み分けの儀式が始まろうとしている。
今年度の新入生の中でAが知っていたのはジニーだけだった。ジニーがスリザリンに入ってくれることを少しだけ期待したけれど、彼女はウィーズリーの例に漏れずグリフィンドール寮に所属することとなった。
ご馳走の前にダンブルドア先生から新任の先生の紹介があった。
「今学期から空席じゃった【闇の魔術に対する防衛術】の講師としてかのギルデロイ・ロックハート氏をお迎えすることとなった」
大広間中に巨大な拍手が巻き起こった。ギルデロイ・ロックハートはみんなに向かって片手を上げ形の整った笑みを浮かべた。
『今でも信じられない！あのロックハート先生に教鞭を執っていただけるなんて…！』
「フン、何がロックハートだ。ちらっと本を読んだがあんなの全部デタラメだろうよ」
ドラコが言うと、周りの男子が一斉に賛同し、女子は一斉に彼を睨んだ。もちろんAもパンジーもドラコを睨みつけた。
『何よ、ただの妬みじゃない！』
Aが小声でパンジーに囁くと彼女は深く頷いた。
豪華なご馳走を食べ終え、スリザリン寮に戻るとある噂が生徒たちの間を飛び交った。ドラコが嬉々としてそれを伝えようとしてきた事から一体誰の話なのか容易に想像がついた。
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作者名：パン太郎 | 作成日時：2021年3月15日 7時
