25話 ページ26
「うちの娘が何かしでかしましたか？私達は魔法族では無いもので、こちらの世界には詳しく無いのですが、粗相をしでかしてしまっているなら謝ります」
グレンジャー夫妻は頭を下げた。
「謝るだけで済む問題ではないのですよ。何も知らないのなら話に関与しないでいただきたい……もう結構です。A、行くよ」
父は店の出口に向かって歩き始めた。Aはとてもでは無いが後を追う気にはなれなかった。
『私、行かないわ』
Aの声に父が振り返った。
「行かない？何を言っているんだい、今日はAの大好きな高級フレンチのお店を予約しているんだ。ほら、」
『行かないったら行かないわ！』
お父様の顔がどんどん赤くなって完熟トマトに達した。お父様はこちらにずんずん進んできてAの手を無理やり引っ張った。
「いいから来るんだ！」『嫌よ！』「A！」
「ルイス！」お母様の声だ。
「ルイス、Aが帰りたくないと言うのならその意思を尊重してあげましょう。それに、貴方とAは一旦離れるべきよ……Mrs.ウィーズリー、Aの事をお願い出来ますか？」
「ええ、もちろん。うちはもう何人増えてもそう変わりませんからね」ウィーズリー夫人が言った。
「A…！お父様を許してあげてね、私も彼も貴女みたいにそうすぐには変われないの。でも一つだけ知っていて、私達は貴女を愛してる。戻りたくなったらまたいつでも戻っていらっしゃい」
お母様はAを強く抱きしめた。お父様が怒りを抑えられずにドアを乱暴に開けてズカズカと歩いて行くのが見えた。
『ありがとう、お母様』
お母様は最後に一度Aの頬にキスをするとお父様を追って店を出て行った。話に夢中になって気づかなかったが大勢の人が何事かとこちらに注目していた。
一行は外に出て、みんな急いで歩いた。グレンジャー夫妻は恐ろしさに震え、ウィーズリー夫人は怒りに震えていた。
「子供たちに、なんて良いお手本を見せてくれたものですこと……公衆の面前で取っ組み合いなんて……それに、Aの目の前でルイスの悪口を言うなんて……ギルデロイ・ロックハートが一体どう思ったか……」
「あいつ、喜んでたぜ」双子のどちらかが言った。「店を出る時、あいつが言ってたこと、聞かなかったの？あの【日刊予言者新聞】のやつに、喧嘩のことを宣伝になるから記事にしてくれないかって頼んでたよ。」
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作者名：パン太郎 | 作成日時：2021年3月15日 7時
