12話 ページ13
「あなたのことは責めていませんよ」
ウィーズリー夫人はフライパンを傾けて、ハリーのお皿に大量のソーセージを滑り込ませながら念を押した。
「アーサーと二人であなたの事を心配していたの。昨夜も、金曜日までにあなたからロン達への返事が来なかったら、私達が貴方を迎えに行こうって話をしていたぐらいよ。
でもねえ、【不正使用の車で国中の半分も飛んでくるなんて】、誰かに見られてもおかしくないでしょう」
「ママ、曇り空だったよ！」とフレッド。
「ものを食べてる時はおしゃべりしないこと！」ロンのお母様が一喝した。
「ママ、連中はハリーを餓死させるところだったんだよ！」とジョージ。
「おまえもおだまり！」とロンのお母様が怒鳴った。その後にハリーのためにパンを切って、バターを塗り始めると、前より和らいだ表情になった。
その時、みんなの気をそらすことが起こった。ネグリジェ姿のジニーが台所に現れたかと思うと、「キャッ」と小さな悲鳴をあげて、また走り去ってしまったのだ。
「ジニーだ、妹だよ。夏休み中ずっと、君のことばっかり話してた」ロンが小声でハリーに囁いた。
『私にもハリーの話ばっかり聞くのよ？』Aは思わず笑って言った。
「ああ、ハリー、君のサインを欲しがるぜ」フレッドがニヤッとしたが、母親と目が合うと、途端に俯いて、あとは黙々と朝食を食べた。
五つの皿が空になるまで___あっという間に空になったが___あとは誰も一言も喋らなかった。
「なんだか疲れたぜ」
フレッドがやっとナイフとフォークを置き、欠伸をした。
「僕、ベッドに行って……」
「行きませんよ」
「夜中起きていたのは自分が悪いんです。庭に出て庭小人を駆除なさい。また手に負えないぐらい増えています」
「ママ、そんな___」
「お前たち二人もです」お母様はロンとジョージをギロっと睨みつけた。
「A、勿論あなたにも罰を受けてもらいますよ。この家にいる限り、貴女の保護者は私ですからね」
『…もちろんです、お母様』
ロンのお母様はハリーに向き直った。
「ハリー。あなたは上に行って、お休みなさいな。あのしょうもない車を飛ばしてくれって、あなたが頼んだわけじゃないんですもの」
「僕、ロンの手伝いをします。庭小人駆除って見た事がありませんし……」
「まあ、優しい子ね。でも、つまらない仕事なのよ」
ロンのお母様はハリーに心底感動したようだった。
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作者名：パン太郎 | 作成日時：2021年3月15日 7時
