58話 ページ9
完全に自分のミスだ。あろうことかトロールの悪臭で気分を悪くするなんて。
最悪の結果になった。これだけは絶対にやりたくなかったが、他に手段はない。重い体を奮い立たせ、三人でドアの方へ全力疾走した。
気が動転したのか鍵がうまく回せないハリーを押しのけ、以前彼女が使っていた呪文＿＿【アロホモラ】＿＿を唱えドアを押し開けた。
ハーマイオニー･グレンジャーは奥の壁に張り付いて縮み上がっていた。今にも気を失わんばかりだ。トロールは洗面台を次々となぎ倒しながら、ハーマイオニーに近づいていく。
『こっちに引き付けて！』
Aは無我夢中で叫ぶと、蛇口を拾って力いっぱい壁に投げつけた。
トロールはハーマイオニーのほんの一メートル手前で立ち止まった。そしてノロノロと向きを変え、にぶそうな目をパチクリさせながらなんの音だろうとこっちを見た。卑しい小さな目がAを捉えた。
トロールは一瞬迷ったようだったが、今度はAのほうに棍棒を振り上げて近づいてきた。
｢やーい、ウスノロ！｣
ロンが反対側から叫んで、金属パイプを投げつけた。トロールはパイプが肩に当たっても何も感じないようだったが、それでも叫び声は聞こえたらしく、また立ち止まった。醜い鼻面を今度はロンの方に向けたので、Aはその後ろに回り込む余裕が出来た。
『早く走って！走るのよ！』
Aはハーマイオニーに向かって叫びながらドアの方に引っ張ろうとしたがハーマイオニーは動けなくなっていた。恐怖で口を開け、壁にピッタリと張り付いたままだった。
トロールがもはや逃げ場のないこちらに方向転換をし、向かってきた。その時、ハリーが勇敢とも、間抜けともいえるような行動に出た。走っていって後ろからトロールに飛びつき、腕をトロールの首根っこに巻き付けた。
トロールにとってハリーが首にぶら下がっていることなど感じもしないが、さすがに長い棒切れが鼻に突き刺されば気にはなる。ハリーが飛びついた時、杖は持ったままだった＿＿杖がトロールの鼻の穴を突き上げた。痛みに唸り声を上げながらトロールはハリーを振り払おうともがき、今にも棍棒で強烈な一撃をくらわしそうだった。
Aは恐怖のあまりハーマイオニーに抱きつき、床に座り込んでしまった。ロンは自分の杖を取り出した。＿＿自分でも何をしようとしているのかもわからないまま、ロンは最初に頭に浮かんだ呪文を唱えていた。
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みゆ - 頑張ってください！続き気になります！！！ (2020年6月11日 11時) (
レス) id: 31b71960cb (このIDを非表示/違反報告)
パン太郎(プロフ) - きょうさん» コメントありがとうございます(*^o^*)最高だなんてもったいないお言葉ありがとうございます！！すごく励みになります！期待に添えられるよう精一杯頑張りますね！ (2020年5月28日 9時) (レス) id: 9960d7b482 (このIDを非表示/違反報告)
パン太郎(プロフ) - ぱあたんさん» コメントありがとうございます(*^^*)嬉しいです！すごく励みになります！ (2020年5月28日 9時) (レス) id: 9960d7b482 (このIDを非表示/違反報告)
きょう - 最高です！更新楽しみにしています！！ (2020年5月28日 9時) (レス) id: a71b17eda1 (このIDを非表示/違反報告)
ぱあたん(プロフ) - とても面白かったです。これからも応援していますね！ (2020年5月27日 19時) (レス) id: 5f3f43ce15 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パン太郎 | 作成日時：2020年5月21日 15時
