*3 ページ4
*
「 _____あれ、A?」
( ……ん?)
少し前から、聞き覚えのある声で俺の名前を呼ばれた気がしたので顔を上げると……。
人通りがそこまで多くない通路で、自分の前方には四人の男性が。
年齢層はそこまで高くなさそうな彼らの、そのうち一人の顔は知っている。
『 え、叔父さん……?』
親戚の集まりの時にゲームで一緒に遊んでもらっている、地元埼玉に住んでいるはずの自分の叔父の姿に驚いてその場で立ち尽くす。
数ヶ月ぶりに会ったが、まさか東京でばったり出会うとは。
呼び掛ければ、叔父さんはそうだよ〜と笑みを浮かべてこちらへやってきた。
「 いやーまさかこんな所で会うなんてね、久しぶり〜元気だった?」
『 久しぶり。うん、元気だよ。えっと、どうして叔父さんが東京に?』
一旦買い物袋を足元に置いて、叔父さんを見上げる。
後ろにいる三人の男性は知り合いの方々かな。
叔父さんは俺が後ろの男性達に視線を向けていたのを気づいたの否か、
「 実況で実写動画の撮影するからこっちに来たんだよ。ね? 」
なんて彼らに唐突に彼らに話を振った。
「 ……いや、そうだけどさ?何、ガッチさんこの子と知り合いなの?」
俺ら置いてけぼりなんだけど……?と低音ボイスの眼鏡をかけた男性の言葉に、同じく困惑したような表情でこちらを見る二人の男性もコクコクと頷いている。
( ……眼鏡の方、どこかで聞いたような……っていうか、"ガッチさん"って呼んだということは。同じ実況者の方かな?)
なんて疑問が生まれたのをよそに、叔父さんはごめんごめん紹介するよと軽い感じで俺の横に立った。
「 この子はA。俺の甥っ子だよ〜かわいいでしょ 」
その後に自己紹介しようね、と言われたので口を開いた。
『 ……俺はかわいくないよ叔父さん。ええと、水無瀬Aと申します。叔父さんの……ガッチさん?の甥です。よろしくお願いします 』
"かわいい"という言葉を否定した後、少し緊張気味だったが無事に自己紹介を終えられた。
叔父さんのことを普段実況者名で呼んだことないから、途中で変に詰まっちゃったけど。
下げていた頭を上げれば、三人の男性は驚いたように目を見開いてこちらを見ていた。
「「「 お、甥っ子!?」」」
少しして、突然三人の声がハモった(しかも割と声量大きめ)のに思わずビクついたのは仕方ない。
*
578人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「男主」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りんご - すごく面白いです!続きを楽しみに待ってます!! (2022年12月3日 19時) (レス) id: 574ad41434 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:千利休 | 作成日時:2022年3月10日 2時