私は彼のために。【歌い手×あんスタ】

にじゅうよんわ。 ページ26

真緒side

"るっくん"というやつが来る？ことに大興奮し、飛び跳ねる転校生。

真｢(ほんとにこいつがさっきまで暴言ってわけじゃないけど、冷たい発言してたやつか……？)｣

疑問が止まらない。
ほんとにこいつは海島Aなのか…？
教室にいる時と雰囲気や喋り方が違うのは凛月に気を許してるから？
凛月と？なぜ？あの転校生が凛月の名前を呼ぶほどに気を許し、あの凛月が転校生の名前を呼ぶほどに気を許している。

真｢(だめだ。理解が追いつかねぇ……)｣

あ｢…ねぇみんな。やっぱりあの転校生さんは悪い子じゃないんだよ。教室で冷たい言い方してたのは何か訳があるだけで、本当はいい子なんじゃないかな｣

｢あんなこっちまで笑っちゃうような笑顔を出す子に悪い子なんていないよ｣

たぶんだけどね。
そう言ってはにかむようにあんずはいった。
根拠はない。でも、そのあんずの言葉には説得力があった。
あの笑顔を見てしまったから。
さっきまで転校生を嫌いだ嫌いだ言ってたスバルも転校生の笑顔に見惚れている。北斗も真も、そして俺も。

ス｢…なんでだろ。さっきまで嫌いだったのにそんな嫌な感情すっ飛んでちゃった！だって、あの子キラキラしてる！さっきまではドロドローっていうか、ヒヤヒヤーっていうか超嫌な感じだったのに、今はキラキラしてる！！｣

ほら見て見て！と叫びながらキラキラした笑顔で俺たちに言ってくる。

北｢訳の分からない説明だがわからなくもないな…。｣

少し口角が上がっている北斗。

遊｢ほんと！説明の言葉は意味わからないけどその通りだよね！｣

スバルと同じくキラキラした笑顔で返す真。
それを微笑ましそうに見るあんず。

あいつの笑顔で俺たちまでもキラキラになっちまった。

真｢すげぇな……｣(ﾎﾞｿｯ)

あ｢ん、？どうしたの真緒くん？…って、顔真っ赤だよ！！？どうしたの？！！｣

ス｢ん？…わあ！ほんとだ！サリーまっかっかだよ！リンゴみたい！！｣

遊｢ええええ？衣更くん熱！！？｣

北｢珍しいな、衣更が風邪ひくなんて…。｣

は？赤い？熱…？
でも、俺だるくもなんもねえぞ…？
そう思いつつ自分の頬に手を当てた。

真｢あっっつ……｣

屋上だから手が冷えて、ってだけじゃない。
熱かった。ほんとに俺は顔が赤いんだろうな。
でも、体はなんともない。

じゃあなんだ……？

自分の異常にわけも分からない俺は、あんずがこちらをニヤニヤしながら見つめていることにも気づくことはなかった。

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