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太宰side
人探しの内容は実に難解であった
相手の名は勿論、容姿もわからない
どこにいるのかすら皆目検討がつかないときた
分かるのは女性ということのみ
どれ程の時間がかかるのやら…
A「その人を見つけるまでは死ねない」
太宰「でもその“時”とやらがきたら死んでしまうのだろう?」
事実、私の手には彼女の死を要求する文がある
その“時”とやらはそう遠くないのだ
それはAも感じていたのだろう
少し悩む動作をして、「そうだ」と顔を上げた
A「見つからずに私が死んだら化けてでよう」
馬鹿なのか
否、馬鹿なのだ
そういう問題ではないのだ
化けて出たところで死んでいることは変わらない
死んだらお終いなのだ
なにもかも。
A「まぁ太宰ならあっという間に見つけてくれるだろう?」
太宰「はぁ…どうして私が…」
A「見つけてくれたら君の夢枕に立ってあげよう」
太宰「全ッ然嬉しくない」
A「ならば呪い殺してあげよう。これ以上ない贅沢だ」
そう言ってニコリと笑ったA
決して嫌味ではない
心の底からの祝福だ
苦しいのも痛いのも御免な私とは正反対な思考回路
到底受け入れられる訳が無い
思考回路は全くと言って違うし、気味の悪い願いをしてくるし、正直言って鬱陶しい
A「太宰、頼む。探してくれまいか?」
それでも友であったのは、きっと似た何かを感じたからだろうか…
太宰「わかった。探してみよう」
A「ありがとう…それじゃあ太宰!私は先に帰っているよ!」
太宰「え?ちょ、帰るってまさか…」
A「勿論、太宰の家にさ!」
太宰「一寸待って、なんでそんなことに…」
A「人探しをするなら私も一緒にいた方が良いだろう?それに私、今家無しだし」
満面の笑みでそう言うA
止めようとしたが1歩遅く、Aは颯爽と探偵社を出ていった
太宰「最悪だ…」
やっぱり嫌いだ、あんな変人…
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