年下彼氏〜苦くて甘い珈琲物語 (ページ10)

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息をのんで思わず顔をあげる。

店員「…？っ！！！」

注文を取りに来たその店員も同じく息をのんでいた。

A「…あ、え、ええっと」

店員「あの！！昨日！！昨日、いらっしゃいましたよね？あの、昨日の！」

A「あ、えと、え、わ、わかりますか？えと、はい。」

店員「もちろんです！えっと、昨日、昨日は大丈夫でしたか？」

A「あ、あ、突然すみませんでした。」

こんな偶然ってあるのだろうか？

私の注文を取りに来たその店員は、まさしく、昨日の路上ライブのあの青年だった。

そして、あのたった一瞬。

しかも、私の顔は涙でぐしゃぐしゃだったはずなのに、彼は私のことを覚えていたのだ。

私の顔見られてたのかぁ。

泣き顔恥ずかしいなぁ。

泣いてしまって、本当に申し訳ないし。

会いたかったけど、いざとなると、申し訳なさで、会わなきゃ良かったなんて思ってしまう。

だけど…相手も自分を覚えていたことが、なんだか、すごくすごく嬉しくてドキドキした。

カフェ店員さんか。

じゃあ歌手志望の素人さんなのかな？

そしたら、昨日の曲は誰かのカバーなのかな？

ぐるぐると頭の中で色々な考えが起こっては消えての繰り返し。