＊*X'masまでに赤ずきんちゃんを*＊ＦＫ

count１５〜エンジン全開藤ヶ谷side ページ16

…まぁ、確かにあれは

タイミング悪かったと思うけど。


でもだからって


やっぱり嫌なもんは嫌だしね。




笑い声が聞こえて、

その声の主が北山で


でも、他にもたくさんの笑い声と


……タマの声もしたから



まだメイクルームに、居ても

良かったんだけど

今までなら楽しそうな雰囲気してる場所へ


しかも北山が居ると分かってる場所へ


行こうとしなかった。



その雰囲気を壊してしまうかもしれないから

北山に、気づかれるかもしれないから

"ヤキモチ"を焼いてるって。



でももう、隠さないって決めたし

何より少しでも北山の近くに居たかったから

迷わず扉を開けた。




のに、そこには

楽しそうに笑うタマの笑顔と


大好きな北山のくしゃくしゃの笑顔が

飛び込んできて…


一瞬にしてよぎる想い、




"その笑顔の隣が俺だったら良かったのに"





と、同時に

ひどく熱い嫉妬と、独占欲。









藤『………なに、してんの？』


北『な、なにってただ…』


藤『俺の居ないところで。楽しそうだね？』









大きな瞳が揺れる。

…大人げなくてごめん。


でも俺

余裕なんてないんだからね？


タマにライバル宣言されるなんて

本気で思ってなかったしさ


それに距離感からして

確実にタマの方が有利じゃん。



『逃げたくない恋』



だからこそ


何よりも本気で

臆病で、不安で



欲しい。



どうしても、北山が欲しい。



雑誌の撮影が終わって

思い返せば

ちょっとやり過ぎたかもしれない…


だけど、まだ全然足りないよ？


北山へのこの想いを

伝えるには

まだまだ全然。









藤『明日やっとオフだね』


北『…ん。』


藤『ふふ、北山？明日楽しみにしてるね』









ーあぁでも、ほら

ちゃんと少しは伝わってる


北山にはちゃんと。


今まで見たことない

可愛い表情が増えたから

これは、きっと


俺のこと意識してくれてる。


最後に、


"じゃあまた連絡待ってるから"


って伝えれば、、、



ふふ、大きな瞳をパチクリ。笑



あー本当は

今すぐにでもその手を取って

腕のなかに閉じ込めて


もう離れらんないように

キツく抱きしめたい。


でも、まだもう少し

もう少しちゃんと俺を意識して？


離れてる間も


俺のこと想って？


俺が北山にそうであるように。


…だから、今日はもう帰るね？

押し引きなんて苦手だけど



明日もその笑顔が見たいから。



北山が好きだよ。





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