未定 (ページ18)

今日:5 hit、昨日:25 hit、合計:64,544 hit

。〔福本side〕ページ18

・
・
・
・

「私は全員には含まれてないって、、さっき、言われたから、、」

今にも泣き出しそうな声してんのに、必死に涙を堪えてるA。

そんなAを見て、ずっと側で支えてきたこじけんが黙ってられるはずがなくて、

小「誰に言われたん？俺今からそいつに文句言いに行くわ」

こじけんはAが口を開くのを待たずに部屋から飛び出していった。

「ちょっとこじけん！」

Aと俺は慌てて追いかけて、今にも誰かに殴りかかりそうな勢いのこじけんを止める。

福「こじけん、1回落ち着け」

「私は別に大丈夫やから、そんな怒らんとって」

小「大丈夫なわけないやろ！お前ずっと頑張ってんのに、なんで誰も認めてくれへんねん」

そう言うこじけんの目からは、ボロボロと大粒の涙がこぼれ落ちる。

「なんでこじけんが泣くのよ」

小「だって、こんなん納得出来るわけないやん」

「だからってこじけんが事務所の人になんか言って、こじけんライブ出られへんくなったらどうすんの？
私はその方が辛い」

こじけんの手を握りながら、まるで小さい子をあやすかのように話すAは、まだ中学生やというのにやけに大人びてて、、

その華奢な体に色んなものを背負い込んで、いつか押しつぶされてしまいそうな気がした。

福「俺さ、こじけんほどAのこと知らんし、Aは俺の事苦手かもしれんけど、、、

いつか一緒のステージに立ちたいなって思ってる」

Aがちょっと驚いた顔で俺を見ていた。

「だから、辛い時は辛い。泣きたい時は思いっきり泣く。そうしやなそれまでに潰れてしまうやろ？」

俺はただ、これを伝えたかった。

自分が1番辛いはずやのに、自分の気持ちを抑えて泣くのをずっと我慢してる。

そんなん、あまりにもしんどすぎるやろ。

「私だって、ほんまはみんなとライブ出たかった、、」

福「うん、、」

「たまたま女に生まれてきただけやのに、、なんで、、」

そこまで言って、Aは泣き崩れた。

俺とこじけんは、ただその横で背中をさすり続けた。

この日以来、Aは自分のことを『私』と呼ばなくなった。