秘密〔福本side〕 ページ17
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俺はAのことが苦手やった。
Aが入所してきた当時Aはまだ10歳、俺は12歳やった。
男の子っぽい服で髪も短かったから、俺らジュニアは最初Aを男の子やと思ってた。
ジャニーさんも男の子やと思ってスカウトしたらしく、入所1ヶ月後くらいに女の子やと分かって事務所の人らも大騒ぎ。
そんなこともあって、小中学生のジュニアの中でAに話しかけに行くやつはこじけんぐらいしかおらんかった。
反対にAも、こじけん以外の人には絶対話しかけることはなかったし、先輩の俺らとは同じ部屋にいることすら避けたがった。
そんなAが生意気やって中学生の俺は思ってた。
なんでそんなに避けてたのかは、俺がこじけんと仲良くなって初めて知った。
小「あいつさぁ、自分がジャニーズにおったらあかんと思ってんねん」
福「やったら辞めればええだけちゃうん？」
小「でもさ、あいつ歌もダンスも好きやねんなぁ。めっちゃ上手いし」
福「へぇー、そんなん1回も見た事ないわ」
小「そりゃそうやろ、他のジュニアがおるときは練習室譲れって事務所の人に言われてるし」
福「、、そうなん？」
小「俺もみんな帰ってから一緒に練習してたら怒られたこと何回もあるし」
福「、、、、」
その時、初めて知った事実。
今まで大して関わろうともせず、Aに対して苦手意識を持っていたことが急に恥ずかしく思えて、同時にAに対する申し訳なさがふつふつと湧き上がってきた。
それからは、少しずつやけどAを見かけた時は必ず話しかけるようになった。
Aの方は、ちょっとずつ話してくれるようになったものの、なかなか目は合わせてくれんかった。
自分勝手やけど、今まで苦手やと思ってたことを許してもらいたかった、いや、Aと関わることで自分が許したかったんやと思う。
そんなある日、俺らジュニアは年明けのコンサートに全員が参加すると伝えられた。
俺はライブに出れることが嬉しくて、こじけんを誘ってレッスンの後も自主練をしてた。
そこに、Aがやって来た。
小「A聞いた？次のライブ、ジュニア全員参加らしいで」
こじけんが嬉しそうにAに駆け寄っていくけど、Aの顔は暗いようにみえた。
「聞いたよ、良かったなぁ」
小「いや、お前も出るやろ？」
「私は全員には含まれてないって、、さっき、言われたから、、」
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作者名：あさとわ | 作成日時：2022年8月18日 20時
