9-1 JNside ページ42
「おい!!おじさんって呼ぶのは―――、ってもういない……」
はあ、とため息をつきながら部屋の扉を閉めたハジュン教授に、僕は慌てて質問した。
「あの、もしかしてハジュン教授とユリはご親戚なんですか?」
「あれ?扉の前で聞いてなかったの?」
「その、実はあまりちゃんと聞こえなくて……」
「そうだったんだ。それじゃあ話が分からないわけだ。ごめんね、巻き込んでしまって」
座ってと応接用のソファを指さされて、僕はおずおずと座った。
ハジュン教授はこれしかないんだけどと、缶コーヒーを1つ渡してくれた。
「ソクジン君の言う通り、俺とユリは血が繋がってる。あいつの母親の兄でね。大学側は知ってるんだけど、生徒達には公表してないんだ。身内だって知られると色々面倒なこともあるから」
教授と生徒が血の繋がりがあると知れば、例えば不正に入学したんじゃないかとか、テストの答えを事前に教えてもらってるんじゃないかとか、そういうあらぬ疑いをかけられる原因になるかもしれない。
それを考えたら公表していないのは当然の考えだった。
「まあ、そのせいで余計に変な噂が流れるようになっちゃったんだけど……」
「変な噂ですか?」
「ソクジン君も聞いたから心配になってここに来たんじゃないのか?ユリと俺が寝てるとか、そういう噂」
「え!?あ、いや、その……」
「はは、分かりやすいな君」
「すみません……」
どうして僕がユリの後をこそこそ追ってハジュン教授の部屋まで来たのかと言うと、友人からその噂を聞いたからだ。
普段ならユリとお昼ご飯を食べに行くのに、今日は違かったから不思議に思ったらしく、ユリがハジュン教授のところに行く話をしたら「そういえばユリ先輩とハジュン教授って付き合ってるとかいう噂流れてたよな」とか「いや、俺が聞いたのはユリ先輩が成績のためにハジュン教授と寝てるって聞いたけど」……とか。
とにかく、いてもたってもいられずに来たというわけだ。
「もうさ、本当にありえないから。血縁者だし、そもそも俺の恋愛対象女性だし。事実無根だから、ソクジン君は今後一切信じないでね」
「わ、分かりました!!」
僕が何度も頷くと、ハジュン教授は満足したように笑ったあと、「で、君をユリの友達と見込んで頼みがあるんだけど、」と、ハジュン教授はようやく本題を切り出した。
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作者名：萩焼 | 作成日時：2022年10月2日 21時
