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「俺じゃなくて他に頼れる人友達とかいないのか?」
「友達いないの知ってるだろ」
「でも最近は――、………」
「?」
ハジュンさんが突然喋るのをやめると、無言で唇に人差し指を当てた。
静かにしてろという意味らしい。
とりあえず言う通りにして黙ると、ハジュンさんは椅子から立ち上がって、足音を立てないように静かに扉の前まで移動した。
「うわあっ!?」
「盗み聞きとはいい度胸だな、君」
「え!?ジナ!?」
ハジュンさんが勢いよく扉を開けると、もつれるようにしてジナが部屋に転がり込んできた。
「な、何してんのお前」
「いや、その、ユリの様子がおかしかったから心配で……」
罰が悪そうな、恥ずかしそうな顔をしながらジナはよろよろと立ち上がった。
「君、名前は?」
「1年のキム・ソクジンです……」
「ほお、君が噂のソクジン君か。本当にかっこいいんだな」
「え?あ、ありがとうございます」
さっきまで完全に不審者を見る目付きをしていたのに、ジナの名前を聞くなりハジュンさんは驚いた顔をして、真面目な好青年と教授達の間でも有名だとジナの事を褒めはじめた。
この人マジで態度すぐ変わるよな、と横目で見ていたらハジュンさんが俺に視線を向けて「いるじゃん、友達」と、ジナのことを指さした。
「ソクジン君に送ってもらえよ。俺より身長高いし、何よりイケメンだし、ストーカーも逃げ出すだろ」
「え!?ストーカー!?ど、どういうことですか?」
「なんだ。話してないのか」
「話すわけないだろ!!それに、駄目に決まってる。ジナが危ない目にあったらどうするんだよ」
「お前一人の方が余っ程危ない目に合いそうだけどな」
女装してるとはいえ男だが、身長は低いし力が強い訳でもない。
ハジュンさんの言葉に俺はなんの反論もできなかった。
でも、ストーカー被害にあっていることは、ジナには知られたくなかった。
雨の時もそうだが、俺がそんな目に合ってると知ったら絶対助けてくれそうだし、毎日送るとか言い出しそうだから黙っていたかったのに。
「……分かった。もうおじさんには頼らない。失礼しました」
「あ、おい!!おじさんって呼ぶのは―――」
ハジュンさんが話している途中だったが、俺は無視をして部屋を出た。
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作者名：萩焼 | 作成日時：2022年10月2日 21時
