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限りある今に最大規模の祝福を ページ15

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送り主は分からない。それがAの答えだった。
トーク画面の背景を雷門前で撮ったツーショットに変更した千束は、Aにスマホを返して折れかけた電波塔に目を遣る。脳裏に浮かぶのは救世主の姿。千束がDAを出てリコリコを始めるきっかけになった大切な人。

「もしかして知ってる?チャームの意味」

「うん。私も持ってたからね、捨てちゃったけど」

「持ってた…は?千束もアラン機関の支援を?」

「受け取った、充分過ぎるくらい。今だってそう。Aとこうやって話せてるのも、吉さん…吉松さん。私に、時間をくれた人のおかげ」

「…どういう意味?」

「そのままの意味だよ」千束は微笑んで胸の辺りを指差した。「先天性の心疾患だったの。生まれた時から心臓が悪くて、もう居ない人間のはずだった。でも生きてる。ここさ、全部機械なんだぜ。凄いだろ」

Aは少しの間、呆然と千束の指先を見ていた。

「人工心臓って事?」

「そそ。なーんか最先端技術らしいよ。私全然分からんけど」

「そりゃ最先端やろ。あんた人の3倍くらいエネルギー使ってそうやし」

言うね〜、と笑う千束はやはりエネルギーの塊だ。立ち上がって伸びをする。木漏れ日が白っぽい金髪を輝かせている。

「…2回も助けてもらったんだ。バッテリーが尽きるまでが寿命、ハタチを迎えられたら御の字ってとこだったんだけど、私はまだまだ生きられる。好きな事をやれる。諦めなくていいって素晴らしい!」

噛み締める様に言った千束は振り返り、Aに手を差し出した。

「それで?次はそっちの番。Aの話を聞かせたまえ」


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RIO(プロフ) - わざわざ返事をして頂き、ありがとう御座います! はいっ、これからも応援します! (~^-^~) (2023年1月10日 22時) (レス) id: 9824f121c1 (このIDを非表示/違反報告)
caramel(プロフ) - RIOさん» コメントありがとうございます!素晴らしいだなんてモチベ爆上がりですっ!不定期更新になると思いますが、良ければこれからもお付き合いください☻ (2023年1月10日 20時) (レス) @page14 id: 5ce05d887a (このIDを非表示/違反報告)
RIO(プロフ) - 初コメント失礼します!リコリコ探していたら丁度、気になる作品名があり拝見させて頂きました。素晴らしい小説だなっ!と思いました。続きを頑張ってください!( ' - ' >) (2023年1月10日 14時) (レス) @page13 id: 9824f121c1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:caramel | 作成日時:2022年11月26日 10時

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