り ページ9
朝。
私は激しい雨音で目覚めた。
まるでバリバリと紙を破いているような激しい雨音が延々と響き続ける。
身支度を済ませながら、私は今日の仕事をどうするべきか考えていた。
グラウンドの掃き掃除をする予定だったはずが、この雨ではそうそう出来そうにない。
どうしようものか考えながら、私は吉野先生の元へと訪れた。
「おはようございます、Aさん。」
朝の挨拶を返しながら、私は今日の仕事内容を尋ねる。
「今日ですか…。この雨ですから、本日は休みで大丈夫ですよ。いつもAさんには頑張っていただいてますし。」
ニコリと微笑む吉野先生。
私はそれに返事をして、部屋から退出した。
ひとまず自室へ戻ろうと廊下を歩く。
その途中、湯呑をお盆にのせた小松田さんとすれ違った。
「あ、Aちゃんおはよう〜」
ホワホワと微笑みながら彼は歩いていく。
おはようと返すと、彼は嬉しそうに笑って吉野先生の居る部屋へと入って行った。
その様子を見届けた後、私はまた自室へと向かう。
忍たま長屋を抜け、先生方の部屋がある長屋に差し掛かった。
「…イタタタタタタ。」
襖を全開にしている部屋から、痛々しい声が聞こえた。
チラリと様子を伺うと、テストの答案用紙を前にしながら胃の辺りを押さえている土井先生が居た。
大丈夫か心配に思った私は、すかさず土井先生の傍へ介抱しに行った。
「…Aさん。すみません、そこの胃薬をとっていただけますか。」
言われた通り、私は薬瓶から一錠取り出した。
一緒に湯呑を手渡す。
それを受け取った土井先生は、ゴクゴクと薬と共にお茶を飲み干していった。
「すみません、助かりました。」
弱々しく微笑む土井先生。
「は組の答案を見ていると胃がキリキリと痛みだしてしまって。」
パラパラと数枚答案用紙を捲る土井先生。
全てを見た後、彼はハァ…と重い溜息をもらした。
「これが後、数十枚も…」
意気消沈。
その言葉が似合うほどに落ちこんでしまった土井先生。
事務仕事が休みになった私は、手伝いを彼に申し出た。
「えっ…Aさん、いいんですか？！」
パアァっと満面の笑みを浮かべる土井先生。
採点道具一式を借りた私は、すぐさま土井先生の仕事を手伝い始めた。
赤いインクで○と×を作業的に付けていく。
チラリと外を見ると、まだ雨は降り続いていた。
そしてふと見つけたのは、忍び姿の若い男。
強く降り続ける雨の中で、その男は苦無を一本持っていた。
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く〜ちゃん(プロフ) - つときょさん» ありがとうございます!面白いって感じて頂けるのすっごく嬉しいです!!遅くなるかもしれませんが、絶対更新します…！(滝夜叉丸くん良いですよね！短編とかでぜひ夢主と絡ませてみたいです笑) (2020年7月8日 11時) (
レス) id: 61072eb2ca (このIDを非表示/違反報告)
つときょ(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。私はあまり転生系が好きではないのですがこの作品はとても面白くてついつい一気見しちゃいました！お体に気をつけてゆっくりでいいのでぜひこれからも更新してください！（できれば滝夜叉丸とかと絡ませてもらいたいです！） (2020年7月6日 22時) (レス) id: af8443efa9 (このIDを非表示/違反報告)
く〜ちゃん(プロフ) - ありすさん» コメントありがとうございます！温かいお言葉をかけて頂き、とても嬉しいです。今以上に楽しんで頂けますよう、更新頑張りますね…！ (2020年6月22日 3時) (レス) id: 581cf551f6 (このIDを非表示/違反報告)
ありす(プロフ) - コメント失礼します！面白くてサクサク読んじゃいました…！！夢主ちゃんが喋らない感じでお話が進んでいくのも新しくて新鮮で良いですね(*´ `)更新楽しみにしています！ (2020年6月20日 12時) (レス) id: 876b37614f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：く〜ちゃん | 作成日時：2020年4月27日 2時
