ゐ ページ25
｢じゃ、行こうか。｣
雑渡さんの頼みは、一緒に月を見に行く事だった。
あの後すぐ城門まで手を引かれた私は、現在彼に連れられ森の中に居る。
｢怖い？｣
安心感のある大きな手がギュッと私の手を握る。
それを握り返すと、隣を歩く雑渡さんはフッと小さく笑みを零した。
｢君と出会った日も、夜だったな｣
木々の隙間からチラリと見える満月を、彼は歩きながら見上げた。
｢…想像にもしてなかったよ｣
なにを想像していなかったのか。
それを尋ねたくても、私は口にできなかった。
唯一見える彼の片目が、濡れたようにキラキラとして見えた。
｢さて、ついたよ。お別れだ。｣
森を抜けると、そこにはだだっ広い草原が広がっていて。
少し先には忍たまの6年生が佇んでいた。
｢あ！Aちゃ〜ん！｣
伊作くんがブンブンとこちらに手を振る。
同じように振り返すと、他の5人もアッとこちらに気がついたようで。
ギンギンやらイケイケドンドンと言った語尾が、私の方にまでハッキリと聞こえてきた。
私は雑渡さんに、ここまで連れてきてくれたお礼を言おうと向き直る。
しかしながら、そこには誰もいなかった。
繋がれていたはずの手はいつの間にか、1冊の日記にすり替わっていた。
・
・
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｢Aよ、タソガレドキはどうじゃったかのぉ？｣
忍術学園に帰って早々、学園長先生に呼び出された私は、未だ日記の中身を読めていない。
｢…うむ。『どうして私がタソガレドキに居たと知っているのですか！』とは、聞いてくれないのか…。｣
ボーッとしてしまっていた私は、学園長先生の期待に急いで応えた。
｢実はな、A。儂が雇って良いと許可したからじゃ！｣
嬉々として語る学園長先生は、楽しそうに笑いジワを浮かべた。
｢山賊に襲われたと聞いた時は驚いたが…。そうじゃ！日記は、貰ってきたか？｣
はいと返事をしながら、私は日記を差し出した。
｢うむ、確かに。…雑渡昆奈門にこの日記が欲しいと頼んだら、Aを数日借りたいと言われてのぉ。｣
大人しく隣で正座していたヘムヘムが、頷きながらヘム！と発した。
｢女中生活はどうじゃった？｣
どこまで話していいものか、私は思案した。
そして、簡潔な感想を述べると、学園長先生はそうかそうかと言いながら微笑む。
｢良い経験が得られたのならあっぱれじゃ。｣
そう話した学園長は、畳の上に置かれた日記帳をパラパラと捲った。
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く〜ちゃん(プロフ) - つときょさん» ありがとうございます!面白いって感じて頂けるのすっごく嬉しいです!!遅くなるかもしれませんが、絶対更新します…！(滝夜叉丸くん良いですよね！短編とかでぜひ夢主と絡ませてみたいです笑) (2020年7月8日 11時) (
レス) id: 61072eb2ca (このIDを非表示/違反報告)
つときょ(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。私はあまり転生系が好きではないのですがこの作品はとても面白くてついつい一気見しちゃいました！お体に気をつけてゆっくりでいいのでぜひこれからも更新してください！（できれば滝夜叉丸とかと絡ませてもらいたいです！） (2020年7月6日 22時) (レス) id: af8443efa9 (このIDを非表示/違反報告)
く〜ちゃん(プロフ) - ありすさん» コメントありがとうございます！温かいお言葉をかけて頂き、とても嬉しいです。今以上に楽しんで頂けますよう、更新頑張りますね…！ (2020年6月22日 3時) (レス) id: 581cf551f6 (このIDを非表示/違反報告)
ありす(プロフ) - コメント失礼します！面白くてサクサク読んじゃいました…！！夢主ちゃんが喋らない感じでお話が進んでいくのも新しくて新鮮で良いですね(*´ `)更新楽しみにしています！ (2020年6月20日 12時) (レス) id: 876b37614f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：く〜ちゃん | 作成日時：2020年4月27日 2時
