検索窓
今日:18 hit、昨日:2 hit、合計:47,949 hit

ページ21

「伊作ー、食堂のおばちゃんがお粥作ってくれたぞー」


保健室の襖を少し雑に開けた留三郎が、僕のすぐ傍に腰を落とす。


「すまない留三郎。ありがとう。」


「いや、いいんだ。それより、まだ体調はすぐれないか?」


「だいぶ良くなったよ。明日からはまた授業に出るつもり。」


僕が山賊に襲われてから数日が経った。
Aちゃんはあれから2日、帰ってきていないらしい。
体の内で、日に日に膨らむ後悔を押し込めるように、僕はお粥を頬張った。


「お、おい、伊作。そんなに一気に食べると、」


「アツっ!留三郎、水、水を、、」


「ったく、少し待ってろ」


そう話した留三郎は、急ぎ足で水を汲みに行った。
舌がヒリヒリと、火傷した様に熱い。


「これ、飲むかい?」


ふと、低くこもったような声が聞こえた。
パッと声のした方を見ると、そこには雑渡昆奈門さんが居た。


「ありがとうございます。」


僕は急いで、差し出された竹の水筒を受け取った。
飲み口から飛び出すストローに口を付け、中の水を吸い上げる。


「…毒が入っていたらどうする気なんだ。」


呆れ声で話す彼に、竹の水筒を返却する。


「…毒が入っていたら、毒消しの薬を飲むと思います。それよりも水、ありがとうございました。」


精一杯の感謝を込めて、ペコリと頭を下げる。


「いや、いいんだ。それじゃあ、用は済んだし帰ることにするよ。」


そう話した彼は堂々と保健室を出て、学園の塀を飛び越えていった。


「伊作!水を汲んできたぞ。」


少し遅れて、留三郎が帰ってきた。
僕はもう一度、水を喉に流した。


「なぁ、伊作。さっきまで文はなかったと思うのだが…。」


突然、訝し気な表情を浮かべた彼は僕の掛け布団の上に手を伸ばした。


「これは、なんだ…?」


長方形に畳まれた文を、留三郎が眺める。
いつの間にか僕の布団の上へ置かれていた文は、表面に「保健委員長さんへ」と書かれていた。

ら→←ね



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (69 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
100人がお気に入り
設定タグ:忍たま , 忍たま乱太郎 , RKRN   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

く〜ちゃん(プロフ) - つときょさん» ありがとうございます!面白いって感じて頂けるのすっごく嬉しいです!!遅くなるかもしれませんが、絶対更新します…!(滝夜叉丸くん良いですよね!短編とかでぜひ夢主と絡ませてみたいです笑) (2020年7月8日 11時) (レス) id: 61072eb2ca (このIDを非表示/違反報告)
つときょ(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。私はあまり転生系が好きではないのですがこの作品はとても面白くてついつい一気見しちゃいました!お体に気をつけてゆっくりでいいのでぜひこれからも更新してください!(できれば滝夜叉丸とかと絡ませてもらいたいです!) (2020年7月6日 22時) (レス) id: af8443efa9 (このIDを非表示/違反報告)
く〜ちゃん(プロフ) - ありすさん» コメントありがとうございます!温かいお言葉をかけて頂き、とても嬉しいです。今以上に楽しんで頂けますよう、更新頑張りますね…! (2020年6月22日 3時) (レス) id: 581cf551f6 (このIDを非表示/違反報告)
ありす(プロフ) - コメント失礼します!面白くてサクサク読んじゃいました…!!夢主ちゃんが喋らない感じでお話が進んでいくのも新しくて新鮮で良いですね(*´ `)更新楽しみにしています! (2020年6月20日 12時) (レス) id: 876b37614f (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:く〜ちゃん | 作成日時:2020年4月27日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。