れ ページ17
ふと、パチリと目が覚めた。
暗くジメジメとした部屋。
ここは何処なのだろう。
私は横たわっていた体を起こし、辺りを見回す。
遠くに明かりが見えた。
細々とした火。
クルリと反対側を見ると、穏やかな表情を浮かべた仏様がうっすらと見える。
「あ、起きたか？」
ズンズンと誰かが近づいてきた。
暗さに目を凝らしてその人を見る。
途端、私の心臓が飛び跳ねた様に、ドクンと強く打った気がした。
「弱い男で残念だったなぁ、嬢ちゃん。」
無精髭を生やし、ウッヘッへッと笑い出したその男は、伊作くんと交戦していた山賊の頭だった。
気持ち悪い笑みを浮かべたまま、その男はジワジワと距離を詰めてくる。
「なぁ嬢ちゃん、俺とイイ事しねぇか？」
ニヤニヤと口元を緩ませる男から逃げる様に、私はひたすら後ろへ後ろへと体をにじらせる。
その様子に気付いたらしい他の山賊が、茶々を入れながらこちらへ寄ってきた。
「お頭ぁ〜、俺も混ぜて下さいよ〜」
ニヤニヤ顔の男に囲まれる。
追い打ちを掛ける様に、私の背中が壁と追突した。
「逃げられなくなっちまったなぁ、嬢ちゃん。」
最悪だ。
私はせめてもの抵抗として、ギュッと自身の襟元を掴んだ。
「おぅおぅおぅ、脱がせねぇってか？そういう女嫌いじゃねぇぜ」
ケタケタと汚い顔に笑みを浮かべる。
男の手が私へと伸びて来た。
怖い。
ギュッと私は目を瞑った。
途端、断末魔のように響く男のうめき声。
「て、てめぇ、何者だ。」
ゆっくりと私は目を開ける。
「タソガレドキ忍軍、諸泉尊奈門だ！」
彼の握っている刃物にはベッタリと血がついており、その足元には呻き声を上げる男が転がっていた。
山賊の傘下に居た男たちは、一瞬の出来事に戸惑い手を震わせている。
先程の笑みと反するように、その顔には恐怖しか浮かんでいなかった。
「…逃げるなら今しかないぞ」
諸泉くんの呟きを聞いた男達は、そのままワッと一斉に走り去っていった。
途端静かになった空間に、今にも消えそうな蝋燭の灯。
一筋の涙が私の頬を滴い、ピチョリと落ちた。
「A、さん。」
スッと彼がしゃがみ込む。
そして親指で涙を拭われた。
「もっと早く、来ればよかったですね…。すみません。」
不甲斐無そうに目を伏せる彼。
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く〜ちゃん(プロフ) - つときょさん» ありがとうございます!面白いって感じて頂けるのすっごく嬉しいです!!遅くなるかもしれませんが、絶対更新します…！(滝夜叉丸くん良いですよね！短編とかでぜひ夢主と絡ませてみたいです笑) (2020年7月8日 11時) (
レス) id: 61072eb2ca (このIDを非表示/違反報告)
つときょ(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。私はあまり転生系が好きではないのですがこの作品はとても面白くてついつい一気見しちゃいました！お体に気をつけてゆっくりでいいのでぜひこれからも更新してください！（できれば滝夜叉丸とかと絡ませてもらいたいです！） (2020年7月6日 22時) (レス) id: af8443efa9 (このIDを非表示/違反報告)
く〜ちゃん(プロフ) - ありすさん» コメントありがとうございます！温かいお言葉をかけて頂き、とても嬉しいです。今以上に楽しんで頂けますよう、更新頑張りますね…！ (2020年6月22日 3時) (レス) id: 581cf551f6 (このIDを非表示/違反報告)
ありす(プロフ) - コメント失礼します！面白くてサクサク読んじゃいました…！！夢主ちゃんが喋らない感じでお話が進んでいくのも新しくて新鮮で良いですね(*´ `)更新楽しみにしています！ (2020年6月20日 12時) (レス) id: 876b37614f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：く〜ちゃん | 作成日時：2020年4月27日 2時
