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私は涙交じりの声で「助けてくれてありがとう」と伝えた。


「…どう、いたしまして。」


彼はお礼を言われることに慣れていないのだろうか。
恥ずかしそうに視線を斜め下へ逸らされてしまった。


「ところで、なぜこんな所にAさんが居るのですか?」


キョトンとした瞳に射抜かれる。
私はここに来るまでの経緯を話そうと、口を開いた。


「保健委員長の彼が、彼女を守れなかったからだよ。」


開いた口が塞がらないとは、こういう事を示すのだろうか。
どこからともなく現れた包帯姿の男に、セリフを全部盗まれた気分だ。


「やぁ、初めまして。Aちゃん。」


目を三日月にして笑むその男は、私の顎を引き寄せる様にクイっと指先で持ち上げる。


「あの山賊にうちの忍軍が先日襲われてね…大したことはなかったが、少し懲らしめてやろうと思っていたんだ。」


笑っているはずの瞳は、とても黒く濁っていた。


「そうだ、善法寺くんなら無事だよ。保健室で今は寝ている。…ところで、うちの忍の者に君は助けられたんだ。報酬は頂くよ?」


企むような声で話したその男は、するりと手を私の頬へ滑らせた。
ゆるゆると頬を撫でられる。
この男は一体何者なんだろうか。


「ねぇ、君。俺に雇われてよ。報酬はそれでいい。」


それを断るとどうなるのだろうか。
目の前の包帯男に聞いてみる。


「断ったら、か。そしたら無理矢理かな?」


ニヤニヤとゲームをするように笑うその男は、頬を撫でる手を止めた。


「もちろんずっととは言わない。ほんの10日程度でいいんだ。」


急に真面目な顔で頼む彼に、私は押され負けてしまった。
雇い主となる男を見つめる。


「雇われてくれるかい?」


コクリと私は頷いた。


「そうか。じゃ、今日から頼むよAちゃん。私の名前は雑渡昆奈門だ。タソガレドキ忍軍の組頭をしている。君の事は善法寺くんから良く聞いているよ。」


ポンと頭に、雑渡さんの大きな手を置かれた。
私は彼に、伊作くんと仲が良いのか尋ねる。


「そうだな…」


ちょうどいい言葉を探しているのか、雑渡さんは腕を組んだ。
そして何を思ったか、フフッと幸せそうに微笑む。


「そのうちわかる。」

つ→←れ



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設定タグ:忍たま , 忍たま乱太郎 , RKRN   
作品ジャンル:恋愛
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く〜ちゃん(プロフ) - つときょさん» ありがとうございます!面白いって感じて頂けるのすっごく嬉しいです!!遅くなるかもしれませんが、絶対更新します…!(滝夜叉丸くん良いですよね!短編とかでぜひ夢主と絡ませてみたいです笑) (2020年7月8日 11時) (レス) id: 61072eb2ca (このIDを非表示/違反報告)
つときょ(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。私はあまり転生系が好きではないのですがこの作品はとても面白くてついつい一気見しちゃいました!お体に気をつけてゆっくりでいいのでぜひこれからも更新してください!(できれば滝夜叉丸とかと絡ませてもらいたいです!) (2020年7月6日 22時) (レス) id: af8443efa9 (このIDを非表示/違反報告)
く〜ちゃん(プロフ) - ありすさん» コメントありがとうございます!温かいお言葉をかけて頂き、とても嬉しいです。今以上に楽しんで頂けますよう、更新頑張りますね…! (2020年6月22日 3時) (レス) id: 581cf551f6 (このIDを非表示/違反報告)
ありす(プロフ) - コメント失礼します!面白くてサクサク読んじゃいました…!!夢主ちゃんが喋らない感じでお話が進んでいくのも新しくて新鮮で良いですね(*´ `)更新楽しみにしています! (2020年6月20日 12時) (レス) id: 876b37614f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:く〜ちゃん | 作成日時:2020年4月27日 2時

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