く ページ28
｢…無事で良かった｣
低く抑えた声が私の耳だけに届く。
その声にほのぼのと安心した私は、ありがとうと呟いていた。
「あ！長次ばかりズルいぞ！！」
こちらに気付いた七松くんが、正面からドタバタと駆け寄ってくる。
「？！小平太…！」
七松くんが、飛びかかる様に私と中在家くんに抱き付く。
ドンと重い音が室内に響いた。
「…モソ。」
七松くんに抱きしめられたまま、私達は押し倒された。
「おい、小平太！」
食満くんと言い争っていた潮江くんが、眉間にしわを寄せながら近づいてくる。
「危ないだろうが」
まるで母猫の様に、七松くんの首を
「A、大丈夫か？」
立花くんの手がスッと差し伸ばされた。
しかしながら、その手を私が掴む事は無かった。
ゴツゴツとした手が、突然背に回された。
その手に押されて、私は上体を起こす。
「長次…」
「…仙蔵」
何か意を含むように名を呼び合った彼らは、ジッと視線を交わし合った。
立花くんの肩の向こうには、ガミガミと叱る潮江くんに、肩をシュンと落とした七松くんが見えて。
そんな彼らをまぁまぁと
そして、こちらをジッと見つめる食満くんが居た。
「長次。そろそろ話し合っていい頃合いだと思わないか？…6年全員で。」
立花くんの凛とした声が響く。
中在家くんにだけ彼は話しかけていた筈なのに、室内は何故かシンとした。
外から１年生の楽しそうな遊び声が聞こえる。
「…モソ。」
中在家くんが頷いた。
すると、場の雰囲気を変える様に、潮江くんと七松くんが声を上げる。
「あー、今夜は会計委員の仕事がないんだっけなー！」
「わ、私も！今夜は夜の鍛錬をする気分ではないぞ！仙蔵！」
「おい、小平太。もっとこう、さりげなくだ、さりげなく」
2人は、今夜話し合いをしないかと提案した。
その案に、伊作くんも同調する。
「今夜か…。長次、留三郎。二人はそれでも良いか？」
「あぁ、大丈夫だ。俺もそろそろこの件について、話したいと思っていたしな」
「皆に合わせる…。」
「それなら今夜亥の刻に、いつもの部屋に集まろう。」
立花くんの声に、私を除いた全員が返事した。
彼らの表情は穏やかだった。
しかしながら彼らの瞳は、ジリジリと合戦場の様に熱気を帯びていた。
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く〜ちゃん(プロフ) - つときょさん» ありがとうございます!面白いって感じて頂けるのすっごく嬉しいです!!遅くなるかもしれませんが、絶対更新します…！(滝夜叉丸くん良いですよね！短編とかでぜひ夢主と絡ませてみたいです笑) (2020年7月8日 11時) (
レス) id: 61072eb2ca (このIDを非表示/違反報告)
つときょ(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。私はあまり転生系が好きではないのですがこの作品はとても面白くてついつい一気見しちゃいました！お体に気をつけてゆっくりでいいのでぜひこれからも更新してください！（できれば滝夜叉丸とかと絡ませてもらいたいです！） (2020年7月6日 22時) (レス) id: af8443efa9 (このIDを非表示/違反報告)
く〜ちゃん(プロフ) - ありすさん» コメントありがとうございます！温かいお言葉をかけて頂き、とても嬉しいです。今以上に楽しんで頂けますよう、更新頑張りますね…！ (2020年6月22日 3時) (レス) id: 581cf551f6 (このIDを非表示/違反報告)
ありす(プロフ) - コメント失礼します！面白くてサクサク読んじゃいました…！！夢主ちゃんが喋らない感じでお話が進んでいくのも新しくて新鮮で良いですね(*´ `)更新楽しみにしています！ (2020年6月20日 12時) (レス) id: 876b37614f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：く〜ちゃん | 作成日時：2020年4月27日 2時
