【銀魂】志村家長女が、真選組局長と結ばれまして。【近藤勲】

雨のCDを買う道すがら ページ9

〜貴方side〜


「姉さん、お時間ありますか？」

「うん、大丈夫。どうしたの？」

「その、お願いがあって…」


まだ何かを躊躇っているように見える新八を、口を開くまで黙ってじっと待った。


「お、お通ちゃんのCDを代わりに買って来て頂けませんでしょうかッ？！」


江戸のトップアイドル、寺門通。
今じゃ、名を知らぬ者はいないと言っていい程の実力者。

宇宙にいた時から、話は何度か耳にしたことがあった。

新八がお通ちゃんのファンだと知ったのは、江戸に戻ってすぐの事だった。

部屋を訪ねた時、視界一面に広がったお通ちゃんのポスターや抱き枕。…言わば、アイドルオタクというもので...
見ただけで、思いの厚さが伝わってきた。

今回、言うのを躊躇ったのは、知られているとはいえ、恥ずかしかったのだろう。


「CD…？」

「はいッ！僕、この後仕事で...」

「分かった、買い物行くついでに買って来るよ。2人に宜しくね。」

「あ、ありがとうございますッ！帰って来たら返金するので！では、行って参りますッ！」


笑顔で駆け出した新八を見送り、私も買いに行く準備をする為立ち上がる。





「ありがとうございましたー。」



「け、結構するんだな...」


実は、今日初めてCDを買いに来た。
昔からそういう類のものには全くと言っていい程興味がなかった。

その為値段を見た時は、内心凄く驚いた。

新八にとって、お通ちゃんはそれ程大きな存在で、心の支えになっていると再認識させられた。



夕飯の買い出しも済ませて、帰ろうとしたその時だった。
急に雨が降り出し、急いで軒下へ駆け込み、雨を凌ぐ。


見ると、まだそこまで強くない。

酷くなる前に、走って帰ろうか...


「大丈夫か。…ん？アンタ...」


走る決心をした時、声を掛けられた。
声のした方を振り向くと、黒い服と刀、火が消えている煙草が目に入る。


「ひ、土方さん...？」

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