【銀魂】志村家長女が、真選組局長と結ばれまして。【近藤勲】

メールも案外楽じゃない ページ37

〜貴方side〜


あのケーキへの感動を胸に仕舞いながら、自室へ戻った。
入ってすぐに目に付いたのは、充電しておいたままの携帯だ。

昨日まで仕事で、病院には行けなかったので、操作なんか知らないのに、メールを送ってみようと考えたのだ。
そうして自分の送ったメールを見て、大きな溜め息を吐いた。

実際にやってみて、理解しながら書いてみたは良いものの、何度も内容を見返して訂正してもしっくりこず、送るのをやめようとした時、誤って送信してしまったのだ。

ここは改行した方が読みやすかっただろうか、ここに句読点は必要だっただろうか、そもそも最後に入れた名前は必要だっただろうか…

今見返してみても、現実性に欠けるが、過去に戻ってやり直したいと思ってしまう。

気晴らしに素振りでもと思った瞬間、ピロンと静かに部屋に響いた。
無造作に置いた携帯にすぐ手を伸ばし、目を思い切り見開き画面を見た。

送り主は、近藤さんだった。
自分の元に、初めて届いたメールだ。

この携帯でのやり取りは、今まで殆ど星海坊主さんとしかしていない。
その星海坊主さんとも、メールはせず、お互いに全て電話で済ませている。

今まで何も無かったメールボックスに、一通の未開封のメール…
少しの緊張感の中、彼のメールを見た。


『お疲れ様です。お陰様で、すっかり元気です。
トシに釘を刺されて、暫くはまた、屯所に引き篭もって書類整理になりそうです。
実は、自分からメールを送る事があまり無いので、お時間ある時、屯所に来て、メールの書き方教えて下さい。いつでも待ってます！近藤』


一文ずつ読んでいき、思わず笑ってしまった。
特に面白い内容があった訳でもなく、誤字脱字なんかがあった訳でもない。

唯々、嬉しかったんだ。

元気に生活出来ている事、無事に仕事に取り組めている事、不器用ながらに、メールを返してくれた事…

全部が嬉しかったんだ。


道場で稽古をする為に立とうとした足を引っ込め、そのメールをずっと眺めていた。
そこではっとし、これにもメールを返すべきなのかを、頭をひねって考え込んだ。

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