【銀魂】志村家長女が、真選組局長と結ばれまして。【近藤勲】

あの光景を再び ページ22

〜土方side〜


近藤さんと分かれた後、音を立てない様自室へ戻った。その数分後、総悟が部屋を訪ねて来た。


「"作戦"大成功でさァ。」

「そ、そうか。」


相変わらずのドSフェイスだ。
顔を見た瞬間、背中に悪寒が走った。

今回の一件は、俺も協力していた。
俺だけじゃない。万事屋の野郎も作戦協力者だ。
あのメールが、主部の作戦開始の合図だった。

屯所に着いた後、何とかして別行動を取り1人にさせる。

今回の状況は、この作戦には好条件だった。


「しかしまあ、ここまで上手く事が運ぶとは思いやせんでしたよ。」

「人を疑う事を知らない2人だからな。」


それがあの2人の長所だと思うが、少しは疑う事も知って欲しいと熟(つくづく)思う。


「今回は最低でも"キス"くらいはしてもらわないと、こっちももうお手上げでさァ。」


まあ熟不運な人だ。
温泉旅行に行った時も、1週間ぶりに会った時も、
狙っているのかと思わせる程、いいタイミングで邪魔が入ったらしく、未だにハグ止まり。

このままでは、余りにも近藤さんが不憫だ。
その思いがきっかけで、今回の作戦を企画した。
Aさんが初めて屯所に来る、この日を決行日にして。

故に、今回の作戦の目的は、少しでも関係を進展させる事。

だが今回、主部を担当したのは総悟だ。
百歩譲ってそれは良いとして、先程のあのドSフェイス...正直不安でしかない。

上手くいってると良いのだが...


それから数分後、部屋の外からドタドタと音が聞こえた。
何が来るかは、簡単に予想出来た。

少し乱暴に開かれた襖の先には、息を切らした近藤さんの姿があった。


「トシ、総悟...」

「ど、どうした近藤さん。」


そう尋ねると、何とも弱々しく、その場にガタッと倒れ込んだ。


「俺...これからまともにAさんの顔見れる気がしねぇ...」


顔を伏せてそう告げた。
恐らく、想像している以上に真っ赤になっている事だろう。

この様子を見るに、一歩は進めたらしいな。


「こりゃあ重症ですねェ。で、何処までいったんですかィ？」


ここでも容赦なくドSを発揮する総悟。
あからさまに動揺する素振りを見せる近藤さん。

その様子はさながら、男子が好きな女子の名前を聞き出そうと必死になる、"修学旅行の男子部屋"の様だった。

箱の扉→←いつもと違う

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す