モテ男 ページ17
〜貴方side〜
「どうせチャイナと土方さんがイチャついてんのが聞こえて、嫉妬したんだろ?」
「い、イチャつくって…でも、そうだな…醜い事にな。」
総悟には、当然の如く見抜かれていた。
コイツは出会った時から、察しが良過ぎる。
俺の弱点、江戸に来た理由、俺の神楽への気持ち、更には、俺が…刀を使いたくない理由も───。
全部がこいつには筒抜けだった。
本当、敵に回したくない奴だ…
「ンで、これから如何するんでィ?」
「勿論、見廻りする。その為に出て来たんだからな。」
「じゃ、後は任せた。」
「待てコラ!本職の公務員がサボるな!ちゃんとやるぞ!」
「へーへー、分かったよ母ちゃん。」
「誰が母ちゃんだッ!」
帰ろうとした総悟を無理矢理引き止め、正式に見廻りを始めた。
そうして見えた町の様子は、全く別のものに見えた。
いつも通っている道の筈なのに、とっくの昔に見慣れた景色の筈なのに、立場が市民を守る警察となっただけで、細かいところまで目が行き、まるでパラレルワールドに来たみたいだ。
感心している俺を余所に、いつも通り無気力な茶髪は、呑気に欠伸をしていた。
「…この差は何なんだか...」
「ンぁ?何か言ったか?」
「何でもねェよ…」
すっかり気が抜けたところで目に入ったのは、コイツと良く来る甘味屋だった。
最近は珍しく、お互い忙しかった為、あまり来れなかったが、隙あれば来てしまう程だ。
これも何かの運か偶然か、休憩がてらに立ち寄った。
「こんにちはー」
「はーい!あーら、お2人さん!いらっしゃいな!久し振りだねェ!」
「ご無沙汰です、女将さん。いつものお願いします。」
「はいよ!少々お待ちを!」
そう言って中へ向かう女将さんを見送り、空いている席へ腰掛けた。
その時、俺達2人に向けられている視線に漸く気付いた。
どうも、奥の方から感じるのだが…
「はい、お待ち如何!」
「ありがとうございます。」
「2人が来ないから、皆すっかり元気無くなっちゃって大変だったのよ!」
『女将さんッ!!』
「あはは…すみませんでした…」
「ちょっと仕事が立て込んでたんでィ。」
言葉を返しているのに、我関せずといった具合で団子を食べ始めた総悟に溜め息を吐き、俺もゆっくりと団子に手を伸ばした。
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蝶華 - ずっとキュンキュンしっぱなしです!これからも応援しています!頑張ってください! (2019年7月16日 20時) (レス) id: 70b9e10207 (このIDを非表示/違反報告)
白桜姫 - 続き見たいです(´・ω・`) (2018年12月26日 6時) (レス) id: a386c69c5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アルナ | 作成日時:2018年6月22日 20時