犯罪者 ページ14
〜貴方side〜
「ま、まさか…本当に行くとは…」
「ちょっとAくぅ〜ん、俺が嘘なんか言う訳無いでしょ〜?金の為なら何だってやる。それが万事屋銀ちゃん、坂田銀時だ!」
「いや人として駄目だろそれ!」
結局冗談でした、というオチになる筈も無く、現在真選組屯所の門前。時刻は…3時半。
「しかも4時っつったのに、何で3時に出たんですか!」
「金は早目に貰った方が何かと良いだろ。」
この人の金への執着心は、ある意味感心する。
その執着心としつこさを、もっと別の方へ向ければ依頼だって増えるだろうに…
さて、と首と肩を回し始めた銀さん。
どんどん悪い顔になっていくのが、背中越しからでも伝わってきた。
「インターホンが無ェなー。…じゃあ、これで開けるか。」
「ま、まさか…」
そう言って懐から取り出したのは、手榴弾だ。
それを見た瞬間、一気に血の気が引いた。
手榴弾の爆発音によって、周りの市民の方々への騒音被害…器物破損で俺達は逮捕…そうなれば、新八と神楽に負担が…
最悪の未来が見え、がっと止めに入った。
「銀さん、それはまずいです!今度こそ逮捕確定ですよ!というか、そんなの何処から…!」
「あ?ズラの懐からくすねたんだよ。」
何ともすらりと出た言葉に、愕然とした。
寝ている人間の懐を探り、私物を窃盗…
この人もう、立派な犯罪者だとは、口には出さなかった。
まあ、元攘夷志士というだけで、このご時世では立派な犯罪者だと思うが。
現に一例が、無防備にぐっすりと寝ている始末だ。
「兎に角、それはやめて下さい!」
「いいや、やめねェ。ここ破壊して金をたんまり貰わなきゃ気が済まねェ!!」
「アンタ本当に犯罪者そのものだよ!」
暴れる銀さんを抑えながらも口論したが、言わずもがな。聞く耳なんか持っちゃいない。
足を引っ掛けて転ばせようとした時、前からあ、という声が聞こえた。
恐る恐る彼の手を見てみると、持っていた筈の手榴弾が無い。
あ、死ぬ。直感的にそう思った。
最後は笑顔で、と思い、銀さんと笑い合った。
…だがいつまで経っても爆発しない。
恐る恐る、手榴弾のある所まで行ってみると…
《ザンネン ニセモノダヨ》
と書かれた紙が出てきた。
『くだらねェモン持ち歩くんじゃねェェェ!!あんの腐れ電波馬鹿ァァァ!!』
その時、住民の安眠など考える暇なんか無かった。
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蝶華 - ずっとキュンキュンしっぱなしです!これからも応援しています!頑張ってください! (2019年7月16日 20時) (レス) id: 70b9e10207 (このIDを非表示/違反報告)
白桜姫 - 続き見たいです(´・ω・`) (2018年12月26日 6時) (レス) id: a386c69c5e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アルナ | 作成日時:2018年6月22日 20時