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〜貴方side〜
塩塚先生の教室の授業が始まり、私と校長先生は早速監視カメラの映像を見る。
今のところ、変わった動きをしている人もいないし、塩塚先生も普通に授業を進めている。
今日で原因を見つけるのは厳しいかな…
『塩塚先生、ここが分からなくて…』
『…ん?そこは基礎だろ?どうして分からないんだ?』
あ、これだ。
そう思った時には、職員室を飛び出してあの教室へ全速力で向かった。
後ろから校長先生の制止の呼びかけの声も聞こえたが、今はもうどうでもいい。
あの先生だけは…野放しに出来ない。
教室の前で止まる間もなく勢いよく扉を開け、今にも生徒に危害を加えようとしている塩塚先生を蹴り上げた。
急所は避けたが、痛みでまともに立てもしないだろう。気絶させなかっただけ感謝して頂きたい。
私は冷酷な声で教師の風上にも置けないこいつに話しかける。
「塩塚先生、今何をしようとしていたんですか?」
「何って...基礎すら、できないあいつにッ…教育を…」
「教育は、脅して無理やり勉強させることなんかじゃないッ!!」
思わず声を荒げると、その場にいた全員の肩がびくっとなったのが横目で確認できた。
「基礎すらできない?当たり前でしょ、基礎なんだから。」
そう言えば、生徒達は『え?』と言いたげな顔をしたが、こいつと一緒に教えるように敬語に戻して話し始める。
「基礎は、物事の基本となるもののことです。しっかり固めなきゃ、何をどんなに積み重ねても崩れてしまう。だから基礎は難しいんです。最初は誰だって分からない。だから私達教師が教えるんです。しっかり身に付くように。それを出来ないと馬鹿にするなんて、教師以前に、人として基礎が全く身に付いていない!!」
この程度の圧で堪えたのか、歯を食いしばって私を睨んできたが、寧ろ『自分は愚かです』と証明しているように見えて滑稽だった。
「基礎が簡単だと言うのなら、貴方はそんな人間として簡単なことも出来ていない、ということになりますね。はい、今日の道徳の授業はここまで!今から皆で外に出よう!5分あげるから隣の教室で準備してね!」
そう言うと、皆は一斉に隣の教室へ移動し、私と彼だけが残り、再び冷たく告げる。
「10秒以内にこの寺子屋から去りなさい。貴方の処分は私達が決める。」
「は、はいっ!」
一喝すれば、情けなく手ぶらで出て行った。
とりあえず、これ以上生徒達を危険に晒すことがなくなって良かった…
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アルナ(プロフ) - 白桜姫さん» こちらにもコメントありがとうございます。なるべく早く更新出来る様に善処します! (2018年11月30日 18時) (レス) id: 75328b6a43 (このIDを非表示/違反報告)
白桜姫 - 続き楽しみに待ってます。 (2018年11月13日 1時) (レス) id: 6519ad1531 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アルナ | 作成日時:2018年5月12日 19時