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〜貴方side〜
訪ねたものの、依頼があったらしく留守だった。
偶然だろうが、何だか顔を合わせない様にしている様で、とても胸が痛んだ。
考え過ぎ、その一言では到底片付けられない感情が、胸の中心へ居座る。
銀さん、ごめんなさい…
そう心の中で改めて謝罪をし、帰ろうとした時、見覚えのある顔が見えた。
「ひ、土方さん…」
「!…Aさんか…」
今から休憩を挟むらしく、2人で甘味処へと向かった。
その時、土方さんの耳が赤く見えたのは、気の所為だろうか…
着いたは良いものの、この微妙な空気が晴れる事はなく、それよりも…
ど、どうしよう…前科がある分気まずいッ!
そう、以前恋焦がれていた相手が隣に居るなんて、考えただけでも気まずさが増す。
そんな事を思っていると、左から声が聞こえた。
「アイツと、何かあったんですか。」
いつもより、少し暗い声。
その声はまるで、あの人みたいで───。
口に出す事は絶対出来ないが、段々と泣きたくなってきてしまった。洗いざらい話したくなった。
"自分が悪い"
そんな言葉、感情だけでなく、"恥ずかしがったりしないで、堂々と恋人だと自信を持ちたい"、"もっと一緒に見て回りたかった"、"甘味を頬張る銀さんをもっと見たい"…
"銀さんと…もっと一緒に居たい"
こんな事を言われても、迷惑極まりない。
だけど、それも全部受け止めてくれる優しさが、今でもとても温かく感じる。
今となっては良く分からないけど、きっと、そういうところに、私は───。
「Aさんなら大丈夫だ、絶対。」
「…はい!」
たった一言だけだったけど、その一言がとても嬉しかった。
以前、近藤さん達に"フォロ方"と言われていた通り、見事なフォローに完遂してしまった。
それじゃあと、お代を置いてすたすたと持ち場へ戻る彼の背中は、そのまま彼へと重なった。
やっぱり、似てるな…
そう思いながら、甘味を口へと運ぶ。
3人が返って来るまで待とう。
そして、しっかり謝罪をしようと決めた。
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アルナ(プロフ) - 白桜姫さん» こちらにもコメントありがとうございます。なるべく早く更新出来る様に善処します! (2018年11月30日 18時) (レス) id: 75328b6a43 (このIDを非表示/違反報告)
白桜姫 - 続き楽しみに待ってます。 (2018年11月13日 1時) (レス) id: 6519ad1531 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アルナ | 作成日時:2018年5月12日 19時