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〜貴方side〜
早々に買い物を切り上げ、昼食を取る事にした。
まだ買いたい物はあるが、あとは家の近くでも手に入る物ばかりだし、これ以上平常心を保てる気がしない。
『先生、あの人彼氏?』
『デート、頑張ってね!』
先程、私の教え子2人に言われた何気無い一言。
2人にとってはそういう時期だし、興味があるのは重々承知しているが、面と向かって言われてしまうのは、今まで恋愛経験ゼロの人間の性というもので、赤面が止まない。
そんな2人にとっての何気無い一言は、私にはとても流せない。
「A、食べないのか?」
「え、あ、頂きます!」
そう言いながら、昼食を一口含んだ。
いつもは1人で食べているから、誰かと食べる、しかも隣に座って食べるなんて事はないから、心臓が苦しくても、凄く嬉しくて堪らないのだ。
銀さんにとっては、当たり前の事なのだろうけど…
「お前、何か緊張してね?」
「い、いえ、してないと思うんですけど…」
「もしかして、体調悪いか?どこか痛かったりしねえか?」
嗚呼もうこの人は、どこまで優しいのだろう。
そんな事を言われてしまって、強張っていた肩も、ドキドキと煩かった心臓も、どんどんと静まっていった…と言いたいところだが、心臓の音だけは、段々と落ちていく滝水の様に、どんどん激しくなっていった。
「おい、ホントに大丈夫か?」
「だ、大丈夫です…!さ、冷めないうちに食べましょう!」
「あ、ああ…」
無理矢理押し切ったは良いものの、若干気まずくなってしまった。
本当、対応能力が乏しいのは課題だな…
その後の買い物も、結局私の体調を心配し、買い物は中断し帰宅となった。
心配だから送っていくと言ってくれるのは、彼のせめてもの気遣いなのだろう。
だが、そんな長い道のりでさえ会話はなく、気付けば自分の家の前に着いていた。
早めに寝ろよと背中を向ける彼が、どうにも悲しげでならない。
自分の所為なのは分かっているが、やはり正直に言うべきだった…
明日改めて謝罪をしに行こうと、とぼとぼと家へ戻った。
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アルナ(プロフ) - 白桜姫さん» こちらにもコメントありがとうございます。なるべく早く更新出来る様に善処します! (2018年11月30日 18時) (レス) id: 75328b6a43 (このIDを非表示/違反報告)
白桜姫 - 続き楽しみに待ってます。 (2018年11月13日 1時) (レス) id: 6519ad1531 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アルナ | 作成日時:2018年5月12日 19時