やっぱり ページ29
〜Sanji side〜
陽が沈み出して来たので、Aちゃんのディナーを作るために船を降りようとすると、遠くからナミさんに呼ばれたので、いつものように駆け付ける。
「ナミさんどうしたの〜？♡もしかして、俺が居なくなるのが寂しい…」
「珍しいわね、特定の子に入れ込むなんて。」
食い気味で否定するように言葉を被せてそう言われると、俺はどうしようもなくて固まってしまい、ぽろっと今思ったことを口にする。
「……やっぱバレてた？」
「バレバレよ。」
ついさっきのこと。
昨日どこに泊まっていたのかという話になり、俺は当たり障りのない答えをした。
決して怪しまれるような行動も発言しなかった。
今日一度だって、自分からAちゃんの名前を出したりはしなかった。
やっぱ、レディには頭が上がらねェ...
すっと頭に手を当て、髪をグシャっとすれば、ナミさんはクスッと笑った。
「本気みたいね。私達に対する態度は相変わらずだけど。」
「そう、なんだよな...こんなの初めてで、結構、困惑しててさ...」
そう、珍しく困惑しているのだ。
俺が今まで出会って来たレディ達は、男を喜ばせる術を熟知していた。だから俺も、本能の赴くがままに接していた。
だがAちゃんはどうだ。
誰に対しても健気に接し、その上可憐で誠実。
エスコートをしようとしただけで赤面された程だ。
それが、俺にとっては新鮮で魅力的だった。
それに、何だか儚くて…とにかく綺麗で...
だから、正直彼女を見ただけで戸惑って仕方ない。
顔が緩むのも留まることを知らない。
「サンジ君、顔。あと鼻血」
「あっ...ごめん、ナミさん」
「はぁ...早く行ってあげなさいよ。A、きっとサンジ君が帰るの待ってるわよ。」
ナミさんに背中を押され、その勢いのまま船を降りた。
そこから見上げると、親指を立てた手を突き出して、無邪気な笑みを浮かべるナミさんの姿が映った。
俺はそれに、一度だけ頷き、背を向けた。
戻ってみると、まだ誰も帰って来てはいなかったので、少し部屋で休むことにした。
ドアノブに手を掛けて目に入ったのは、机の上の灰皿とメモ。
俺は一目散にメモを読む。
『昨日の内に渡せずすみません。今日の昼も…
夜は一緒に食べましょうね。A』
作家の彼女の綺麗な文字、言葉遣い1つ1つが俺の心臓に突き刺さる。
何より最後の一言が嬉し過ぎて、いつの間にか昨日の内に使用許可を得たキッチンに立っていた。
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アルナ(プロフ) - 五月さん» コメントありがとうございます！あらら、夢主ちゃん強しですね…文才だなんて、嬉しいお言葉ありがとうございます…！ (2020年10月21日 22時) (
レス) id: 7b1df57a60 (このIDを非表示/違反報告)
アルナ(プロフ) - チリーノさん» コメントありがとうございます！キュンキュンできるよう頑張ってます！笑 当初は出す予定のなかったキャラなので、評価頂けて嬉しい限りです…！ (2020年10月21日 21時) (レス) id: 7b1df57a60 (このIDを非表示/違反報告)
五月 - サンジ目的で見ていた筈なのに、いつの間にか夢主ちゃんが見たくて来てる...アルナさんの文才からなせる業ですね!(^^)! (2020年10月21日 7時) (レス) id: e42a882344 (このIDを非表示/違反報告)
チリーノ - もうキュンキュンしっぱなし!!!ヴァルドくんカッコイイ〜(//∇//) (2020年10月19日 21時) (レス) id: c3fee6268f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アルナ | 作成日時：2020年9月14日 15時
