"男が…" ページ28
〜No side〜
「ソアラさん、ジョッキおかわり頼むよ！」
「はい、少々お待ちを！A、6番テーブルの注文…」
「もうすぐ終わるよ！」
サンジが船で仲間に料理を振る舞っている時、Aも同じように、酒場の厨房で客に料理を振る舞っていた。
昼時で、酒場は大忙し。
昨日急に定休日にしたこともあって、余計にだ。
それでも親子揃って、笑顔を絶やすことなく客に満足してお帰り頂けるようにと努めていた。
ソアラがフロアで忙しなく動き回っているのをチラッと確認したAは、出来上がった料理をテーブルまで運び、急いで厨房へ戻るというのを繰り返している。
「それにしても、最近ますます腕上げたよな、Aちゃん」
「ああ、今までも勿論美味かったが。これもソアラちゃんの指導の賜物かね。」
「そうねえ。それに最近は、男が…」
「
厨房で調理しているとはいえ、大声で会話されたら嫌でも耳に入ってくるもので。
Aは自分が話題になっていることが気恥ずかしく、遮るようにオーナーである自分の母を呼ぶ。
料理を取りに厨房へ戻ったソアラは、Aを見て、露骨にニヤッと笑みを浮かべる。
「まだ"男が"としか言ってないじゃない。」
「誰のことかは兎も角、あることないこと吹き込もうとしない。はい、ついでに10番テーブルのと、さっきのジョッキも。」
「あら、もう出来たの。流石私の娘ね！」
そう誇らしげに言うソアラに、調子良いなと、Aは溜め息を吐きつつ調理に戻った。
それから数時間後。
漸く休憩に漕ぎ付けたAは、一度家に戻り、現在サンジの部屋と化している父の部屋に、あるものを置いていった。
灰皿だ。
サンジは一度たりともAの前で煙草を吸ったことはなかったし、取り出す素振りさえしなかった。
だが、酒場で手伝いをしているAにはお見通しだった。
倉庫の奥に仕舞い込んでいた父の灰皿を休憩時間に見つけて、埃まみれだったのを綺麗に洗い、机の上にメモと一緒に置き、急いで酒場へ戻った。
少しでも、サンジさんにとって居心地の良い場所を作れるなら…
Aはその一心だった。
それが彼女の度を超えた親切心故なのか、はたまた彼女自身でさえ気付かない、また別の感情に動かされたからなのか。
それを知る者は、今は誰も居ない。
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アルナ(プロフ) - 五月さん» コメントありがとうございます！あらら、夢主ちゃん強しですね…文才だなんて、嬉しいお言葉ありがとうございます…！ (2020年10月21日 22時) (
レス) id: 7b1df57a60 (このIDを非表示/違反報告)
アルナ(プロフ) - チリーノさん» コメントありがとうございます！キュンキュンできるよう頑張ってます！笑 当初は出す予定のなかったキャラなので、評価頂けて嬉しい限りです…！ (2020年10月21日 21時) (レス) id: 7b1df57a60 (このIDを非表示/違反報告)
五月 - サンジ目的で見ていた筈なのに、いつの間にか夢主ちゃんが見たくて来てる...アルナさんの文才からなせる業ですね!(^^)! (2020年10月21日 7時) (レス) id: e42a882344 (このIDを非表示/違反報告)
チリーノ - もうキュンキュンしっぱなし!!!ヴァルドくんカッコイイ〜(//∇//) (2020年10月19日 21時) (レス) id: c3fee6268f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アルナ | 作成日時：2020年9月14日 15時
