忘れ物を ページ20
〜Your side〜
昼間、母が来たらしいのだが、渡し損ねた物があるのだという。
またヴァルドに何を頼んだんだか…
少し興味はあるが、とても聞けなかった。
『悪いな、俺10分後に市場に行かなきゃいけなくてよ。』
「気にしないで、じゃあ今から取りに行くよ。」
ガチャっと切り、急いでヴァルドの店へ向かう。
市場は母の酒場と逆方向で、とても10分で往復できる距離ではない。
しかし、意外だった。
ヴァルドが商品の提供を忘れるなんて、珍しいこともあるのだなと、無意識の内に思っていた。
幼い頃から一緒に居るが、ヴァルドが何かを忘れたのを見たことがない。物にしても、用事にしても。
やっぱりヴァルドも人だな、なんて本人の前で言ったら怒られるな。これは胸の内に秘めておこう。
「これの修理を頼まれててな。今日終わったから渡そうと思ってたんだが…」
そう言って渡されたのは、母がいつも付けているブレスレット。いつの間に壊れていたんだろう…
悪いことをしたという顔をするので、気に病むことはないと、慣れないヴァルドの姿に困惑しながらもフォローした。
それにしても、私の幼馴染は本当に何でも出来てしまうな、と改めて感心した。
「それじゃあ、俺行くわ。」
「うん、気を付けて。」
素早く店に鍵を掛けて走って向かうヴァルドを背に、私は酒場へ向かう。
裏口から入ると母と男性の話し声が聞こえた。
誰か味見役でも呼んだのかと思っていると、厨房に立っていたのは調理中の母と……
「ん？おぉ？！Aちゃ〜ん！！♡♡こんなに早く再会できるなんて〜♡♡」
「あらA、いらっしゃい。」
今朝見送ってくれた、サンジさんだった。
どういう流れでこんなことになっているのか分からず、2人に尋ねれば、ヴァルドの店で会い、母が頼んで試作品作りの手伝いをしてくれているのだという。
昨日のこともあって疲れているだろうに…
「母の提案を飲んで下さってありがとうございます、サンジさん」
「他ならぬAちゃんのお母様からの頼みなら喜んで〜♡♡」
もう私は、彼に対して感謝の気持ちでいっぱいだった。
席へ誘導され、2人の試作品を待つことになったが、せめて何か手伝おうと立ち上がると、母に呼び止められた。
「A、夕食は？」
「いや、まだ…」
「なら俺が栄養満点の料理作るから待っててね〜♡♡」
こう言ってるし、と母に待つように促され、結局再び立つことは出来なかった。
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アルナ(プロフ) - 五月さん» コメントありがとうございます！あらら、夢主ちゃん強しですね…文才だなんて、嬉しいお言葉ありがとうございます…！ (2020年10月21日 22時) (
レス) id: 7b1df57a60 (このIDを非表示/違反報告)
アルナ(プロフ) - チリーノさん» コメントありがとうございます！キュンキュンできるよう頑張ってます！笑 当初は出す予定のなかったキャラなので、評価頂けて嬉しい限りです…！ (2020年10月21日 21時) (レス) id: 7b1df57a60 (このIDを非表示/違反報告)
五月 - サンジ目的で見ていた筈なのに、いつの間にか夢主ちゃんが見たくて来てる...アルナさんの文才からなせる業ですね!(^^)! (2020年10月21日 7時) (レス) id: e42a882344 (このIDを非表示/違反報告)
チリーノ - もうキュンキュンしっぱなし!!!ヴァルドくんカッコイイ〜(//∇//) (2020年10月19日 21時) (レス) id: c3fee6268f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アルナ | 作成日時：2020年9月14日 15時
