待って、それじゃあ【プルメリア】 ページ45
「よぉよぉ、ねーちゃんたち。あんたらの幸せを、おじさん達にも分けてちょーだいよ」
「………お前に分ける幸せは、あいにく持っていないんだ」
引率の支倉教師が、目の前の輩を鋭い紅の双眸で睨みつける。
まさに蛇に睨まれた蛙状態のオーバードーズ。
彼らが目を見開くと同時に、彼らの頬を汗がつたった。
「さあ、やるか」
支倉教師の言葉を合図に、私達は戦闘に入った。
一触即発の雰囲気の店内の空気を、攻撃が切り裂いた。
☆★☆★
「なんですか、この方々!」
神造先輩が吐き捨てるように言った。彼女の声は心なしか上擦っており、それと同時に焦りが混じっていた。
何故か。それは、魔法攻撃がなぜか無力化されていくからだった。
支倉教師の攻撃は勿論、私の宵闇パイプでの煙攻撃ですら無力化されていく。
どうにか勝とうと、どうにかこの場をやりきろうとする私達だったが、魔法攻撃が無力化されてしまうのでは何も起こらない。
ただ単に、効かない攻撃を相手に仕掛けているだけ。これでは暖簾に腕押し、そのものだ。
どうにでも出来ない私。
自責の念に駆られ、先ほどよりも強い攻撃を仕掛ける。しかし、余裕の表情を浮かべた手下の前ではそれはただの塵だ。
何にもならない。攻撃は出来るが、何も起きない…。なんとももどかしい気持ちが心の中で弥増していく。
無様な私達を見て、オーバードーズが嗤う。笑う。笑う嗤う。
「なんだ、その程度か?スカイハイも落ちたもんだ」
もし彼の発言が文字に見えるのだったら、語尾には確実に(笑)がついている事であろう。
だめだ。そもそも、数もここにいるならば戦えよ。
と、思いひたすら数式を綴っている同級生に目を向ける。が、彼は私にはお構いなしだ。
狂ったように数式を綴っていく。その時、「あっ」という声とセットに数式のノートが落ちた。
手下がめざとくそれを見つけ、
「おうおう、兄ちゃん頑張ってんな〜。でも、間違ってるのかもな〜」
と、赤子に向けて話すかのような挑発的な口調で彼を煽った。
そこまでは、まだよかった。
それから、手下はぐしゃりと彼のノートを踏みつけた。文字通り。
「…………ッ!」
自分の数式を侮辱された。その上、踏まれた。これ以上ないくらいの冒涜。
信じられないくらいの怒りが、数の心を支配していく。
わなわなと肩が小刻みに震えだす。怯えでも何でもない、ただ単に彼はおこっているから来ていた。
その震えは。
16人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雨読@低浮上…?なのか?(プロフ) - まだ四十八話だったのですが、続編の考査編へ移行させていただきます!これからも宜しくお願い致します! (2020年7月26日 16時) (レス) id: 10653b224c (このIDを非表示/違反報告)
雨司@多忙(プロフ) - 更新しました。 (2020年7月10日 13時) (レス) id: 10653b224c (このIDを非表示/違反報告)
雨司@多忙(プロフ) - 更新します。 (2020年7月10日 8時) (レス) id: 10653b224c (このIDを非表示/違反報告)
雨司@元ユリイ(プロフ) - 更新しました。 (2020年6月30日 18時) (レス) id: 2b687b1169 (このIDを非表示/違反報告)
雨司@元ユリイ(プロフ) - お久しぶりです。更新いたします。 (2020年6月30日 17時) (レス) id: 2b687b1169 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:スカイハイ転生学園一同 x他9人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/sakyomatsu1/
作成日時:2020年5月12日 16時