【リレー小説】スカイハイ転生学園！～職業体験編～ (ページ18)

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まだ四季冷夏と三年の先輩は食べ終わっていなかったが、ネイビーさんと私は食べ終わったので、私は読書を、ネイビーさんは店内の掃除を始めた。
右手のはたきで店内の棚をパンパンと叩くネイビーさん。彼が棚を叩くたびに、少量の埃が舞う。
ていうか、物(ほとんど使わないような物)だらけの棚をそんなはたきで叩いたって無駄じゃねえの。
そう、毒づいた時だった。
　「あ、あの！ガチャを直してください！」
　「ん…？」
ネイビーさんのはたきで棚を叩く手が止まり、四季冷夏と先輩の箸・スプーンが止まる。
完全に声の方を向いて、フリーズしてしまっている彼らにはお構いなしに、私は文庫本のページを捲った。
☆★☆★
　「はい、これで完了っと！」
　「うわぁ…！有難うございます！」
ネイビーさんがガチャガチャのマシンの上の所をポンと叩いて言った瞬間、男の子の顔がぱぁっと明るくなった。
ネイビーさんの所に届いた依頼はこうだ。
依頼人である男の子がガチャガチャをしようとしたら、何故かダイヤルが回らず、お金も帰ってこないという不具合が発生。
そこで、たまたまネイビーさんの『はしごたか』を発見したため、ここに依頼をしてきたのであった。
まあ行ってみると何の変哲のないガチャマシンがあって、解体してみたらお金が詰まっていた…というだけの話。
てかさ、詰まったガチャガチャ直しにガチャマシンの所まで行くとか、どんだけ暇なんだよ。
毒づいている間に、男の子は何度もネイビーさんにぺこぺこやってから、「失礼しました！」と、走ってどこかへ行ってしまっていた。
彼の背中を見送ってから、私達は『はしごたか』まで戻った。
もう日は暮れておち、太陽が西の方の山に隠れていた。そのせいで、薄闇が辺りに広がっていた。
辺りは暗かったが、家の中を照らす光が家から漏れ出して外まで染みて来ていたため、暗くてなにも見えない！なんてことは無かった。
まるで紺色の絵の具で塗りつぶした背景に、黄色の絵の具が灯っているようである。
電機はとうの昔に発達し、ＬＥＤなるものが出てきている時代なのにもかかわらず、『はしごたか』の店内ではなぜか電球が私たちの顔を照らしていた。
電球で明るくできる範囲は狭いため、棚の方には光が届いておらず、招き猫たちにうっすらと影を作っていた。
そうやって、なんの代わり映えもない５日が過ぎて行った。